◆第56回
スプリンターズS・G1(10月2日、中山・芝1200メートル)
今週の
スプリンターズS・G1(10月2日、中山・芝1200メートル)での注目馬は
ヴェントヴォーチェ(牡5歳、栗東・牧浦厩舎)だ。当舞台での持ち時計1位の
タートルボウル産駒で、牧浦厩舎は6ハロンのレースが得意距離。さらに今年は驚異の馬券の回収率と、データからは波乱の立役者となる資格は十分だ。
札幌の
キーンランドCで重賞初タイトルを手にした
ヴェントヴォーチェだが、決して洋芝巧者というわけではない。3馬身差で圧勝した4走前の
春雷S(リステッド)でマークした1分6秒8は、中山・芝1200メートル戦におけるメンバー1位の持ち時計。むしろ中山替わりは好材料だ。
管理する牧浦厩舎の距離別成績は通算218勝中、今回と同じ1200メートル戦がダントツの90勝(2位=1400メートル41勝)。調教師は「短い距離の馬が多いなというのは自分でも感じています。(短距離を使うのは)第一は血統背景を見て、動きや息遣いなども見ながら、その路線を選ぶことが多いですね」と分析する。
ヴェントヴォーチェもデビューから一貫して1000〜1200メートルに起用され、6月の
函館スプリントS(7着)から、7月には新潟の
アイビスSD(9着)を使い、再び北の大地に戻って重賞勝ちにつなげた。「チャンスがあると思えば、積極的に遠征をかけている点も成績に結びついているのかもしれません」と牧浦師。4戦ぶりに東上してくる今回も勝負気配が漂う。
そして、特筆すべきはその前走の6番人気(単勝12・3倍、複勝3・8倍)での勝利。まさに今年の牧浦厩舎の象徴的な一戦と言える。22年9月時点で【17 15 14 146】の成績を残し、すでに昨年の19勝(地方含む)に勝ち星で並ぶ勢いだが、何と単勝回収率203%、複勝回収率125%という驚がくの数字。単複を買い続ければプラス収支になる計算で、上位人気にならなそうな今回のG1でも―。決して侮れない存在だ。(西山 智昭)
スポーツ報知