現地時間10月2日にフランスのパリロンシャン競馬場で行われる
凱旋門賞(3歳上・G1・芝2400m)。日本競馬の悲願とも言える
凱旋門賞制覇に向けて、今年は日本馬4頭が参戦を予定しており、例年以上の盛り上がりを見せている。今回は血統的な観点から注目馬を紹介していく。
シャンティイ開催からパリロンシャン開催に戻って以降、ドイツ血統の活躍を目立つ。昨年覇者トルカータータッソ(ドイツ産・ドイツ調教馬)の優勝に目がいくが、3着馬ハリケーンレーンは母父が
Shirocco。また、2020年の2着馬インスウープはトルカータータッソと同父。2019年の覇者
ヴァルトガイストは母父に
Monsunを持つ。上述した
Shiroccoは
Monsunの代表産駒の1頭である。
なかでも注目したいのは種牡馬
Adlerflug。2007年の独ダービーを制するなど活躍した同馬は現役引退後ドイツで種牡馬入りを果たし、さまざまな活躍馬を輩出している。代表産駒は上述したトルカータータッソやインスウープなど。
ポイントとなるのは
Adlerflugの二代母Alya。現代の欧州競馬に枝葉を伸ばす繁殖牝馬
Allegrettaの全妹だ。
Allegrettaは1993年の
凱旋門賞覇者
アーバンシーや日本でも産駒が活躍する種牡馬キングズベストの母であり、
アーバンシーは母として大種牡馬
Galileoや2009年の
凱旋門賞覇者
Sea The Starsを送り出している。
先述した
ヴァルトガイストは
Galileo産駒。ハリケーンレーンは
Frankel産駒。これらと同じように『
Allegretta(=Alya)を持つこと』に加え、ドイツ的な要素を持ち合わせる競走馬を3頭ピックアップする。
昨年覇者トルカータータッソは
Adlerflug産駒であると同時に、自身の四代母が
Allegrettaであり、Alya=
Allegrettaの3×4という牝系クロスを持っている。なお、バーデン大賞でトルカータータッソを破った
メンドシノも同じくドイツ産の
Adlerflug産駒だが、母はアイルランド産馬であり、
Monsunや
Acatenangoに代表されるドイツの主流血統は持たない。
2頭目は急遽参戦を表明したヴァデニ。こちらは母父に
Monsunを持っている。父はマイル路線で活躍した
Churchillで、ヴァデニは初年度産駒。二代父に
Galileoを持っていることから、同馬も「
Allegrettaを持つ」「ドイツ血統を持つ」の2要件を満たしている。
3頭目はマレオーストラリス。父は名牝ウィジャボードの仔
Australiaで、その父は
Galileo。こちらは母母父にドイツの名馬
プラティニを持っており、ヴァデニと同じ要件を満たす。なお
プラティニは2010年の
日本ダービー馬
エイシンフラッシュの母父としても知られている。マレオーストラリス自身はドイツでデビューし、その後フランスへ移籍。昨年のガネー賞で逃げ切り勝ちをおさめており、波乱の立役者となるか要注目である。