昨年の勝ち馬スピーディキックはその後、南関牝馬2冠を達成するなど、現在進行形でスターホースへの道を邁進中である。この馬は近年でも指折りのポテンシャルがあったわけだが、地元馬の優勝は決して昨年に限った話ではない。2017年から実に5年連続で、地元門別勢が女王の座に就いている。今年も地元馬優勢と見ていいだろう。

　今年のエースは、この重賞6勝を誇る名門・角川厩舎のスティールグレイスである。栄冠賞こそ、ソエの影響が尾を引いて不覚を取ってしまったが、その後の牝馬重賞連勝で、完全に立ち直った。特に前走リリーCは、2着馬に3馬身の差をつける圧倒的な走りであった。例年、先行争いが激化するため、スピード一辺倒のタイプは不安がつきまとうが、マイルもこなすパワーがあり、末脚確かなこの馬にそれはない。これまで以上の多頭数だけに、馬群をうまく捌けるかどうかだけが焦点だ。

　他の地元馬で好敵手となり得るのは、まだ未対戦のアサクサロックだろう。フローラルC、リリーCとスティールグレイスの2着だったリコシェを物差しにすれば、フルールCでこの馬を差し切っている事実は価値が高い。順調さを欠いてぶっつけ本番となった影響は無視できないが、狙う魅力は十分にある。

　ダークホースとしてはメイドイットマムが面白い。後のイノセントC勝ち馬スペシャルエックスに、クビ差まで迫った3走前の内容は優秀だ。前走は後手に回って脚を余したが、巻き返す能力は秘めている。他では、2走前が好内容Vのアンフォラ、栄冠賞2着のライトニングブルーなどに浮上の余地がありそうだ。

　中央勢の最有力はトモジャミだろう。中山ダートでの未勝利勝ちの内容は、昨年2着だったヒストリックノヴァと同等の評価ができる。ただ、この馬含め、中央勢4頭はいずれも厳しい先行争いに加わりそうで、タフな門別ダートを乗り切れるかが課題である。リエノテソーロ以来の勝利なるか、中央馬の意地を見せてもらいたい。

(文：競馬ブック・板垣祐介)

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