香港国際競走が11日、シャティン競馬場で行われ、
ウインマリリン(牝5=手塚)が
香港ヴァーズを制した。日本馬の牝馬として初のヴァーズ優勝で、
手塚貴久調教師(58)もうれしい海外G1初勝利となった。同レースで
グローリーヴェイズ(牡7=尾関)が3着、
香港カップでは
ダノンザキッド(牡4=安田隆)が2着と存在感を示した。ヴァーズ以外の3レースは全て地元の香港馬が優勝した。
初めて訪れた香港で見せた、初めての
ウインマリリン。これまでにない大外ぶち抜きの鮮烈な末脚。海外G1初制覇となった手塚師は、愛馬の新たな一面に驚きを隠せなかった。「今までと違う
マリリンだった。当初、練っていた作戦とは違ったけど神騎乗です。凄い末脚でした」
エリザベス女王杯(2着)から引き続き鞍上はレーン。その前走はいつも通り好位にこだわったが、この日はするするとポジションを下げる。3〜4角で後方2番手。過去に経験のない位置からの直線勝負。「届くのか…?」。
マリリンを知る誰もに不安がよぎる。しかし、大外に持ち出すと目の覚める末脚。一気に他馬を抜き去った。レーンは「彼女の末脚が切れることは知っていたので、それを生かす乗り方をしようと思っていた。(前走で敗れた)
ジェラルディーナはスペシャルな馬なので、この日は自分の走りができる自信があった」と笑顔で振り返った。
20年
オークス2着で早くから頭角を現した素質馬がようやく手にしたG1タイトル。右肘の肘腫に悩まされ、人気を背負いながら大敗したレースもあった。それだけに師は「体調が良くなかった時にレースを使って彼女に申し訳ないことをしたこともありました。ここでいい勲章を与えられてよかった」と目を細めた。
引退がちらつく牝馬の5歳冬。地元
メディアから「来年もまた
ウインマリリンと香港で合えますか?」との質問に、師は「これからオーナーとよく相談します」と含みを持たせた。この日、他3レースは屈強な香港馬の後塵(こうじん)を拝す悔しい結果に。それでも、ヴァーズは
マリリンが勝利し、昨年覇者
グローリーヴェイズが3着を死守。年々強くなる香港勢、欧州の実力馬たちに、長距離戦での日本馬の力を示した。
《3着
グローリーヴェイズ 奮闘も有終飾れず》これがラストランの1番人気
グローリーヴェイズは道中6番手から馬群を割って脚を伸ばしたが3着。19、21年に続く史上最多の
香港ヴァーズ3勝目はならなかった。モレイラは「状態は良かったですが、他馬の状態も良かったこともあり、今回の結果は残念でした。ただ、私は彼を誇りに思っています」とパートナーを称える。尾関師は「最後のレースですが、よく頑張ってくれました。無事で何より。次は
グローリーヴェイズの子で挑戦したいです」と第2の馬生にエールを送った。
スポニチ