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“競走馬ファースト”誓いから2年後の戴冠劇

スポニチ
  • 2023年02月03日(金) 05時00分
 【競馬人生劇場・平松さとし】2007年1月、田中勝春騎手を背に3歳新馬戦を勝ったアブソリュート。素質を見抜いた田中騎手は「何とかダービーに挑戦させたい」と、中2週で自己条件に使うことを管理する宗像義忠調教師に進言。実際に使ってもらうと、思惑通り優勝。しかし…。

 「故障を発症してしまいました」

 ここで1頭の馬が田中騎手の頭に浮かんだ。アブソリュートの5歳年上で、同じ薗部博之オーナー、同じ厩舎のバランスオブゲームだ。アブソリュートが新馬を勝つ約4カ月前、同馬は田中騎手を背にオールカマー(G2)を制していた。

 「ただ、レース前にラチにぶつかってバンデージがズレそうになっていたのにそのまま走らせてしまったため、レース後、屈腱炎を発症してしまいました」

 これにより引退の報を聞いた時「“自分はホースマンじゃない”と感じた」と田中騎手。そして、同時に同じ過ちを繰り返さないように心に誓ったと続ける。

 「それから間もないうちにまたアブソリュートをダメにしてしまうわけにはいきませんでした」

 だからダービーを諦めた後はゆっくりと馬に合わせて本格化してくれるのを待った。結果、新馬勝ちから約2年後の09年1月末、アブソリュートと田中騎手のタッグは東京新聞杯(G3)を優勝。同年の富士S(当時G3、現G2)も制し、安田記念マイルチャンピオンシップといったG1にも度々出走するほど出世した。しかし、それでも田中騎手は次のように言う。

 「デビュー当初の自分の判断ミスがなければ大きいところを勝てていたかもしれません。そのくらい高い能力と良い素質を持った馬でした」

 自らを戒めるようにそう言うが、8歳となった12年の11月まで、息長く走らせて、通算28戦7勝の成績を残し、現在もホースマンを養成する学校(インターアクションホースマンスクール)で頑張っているのだから立派なモノである。

 そんなアブソリュート東京新聞杯を制してから14年。果たして今年はどんな勝負が見られるだろう。 (フリーライター)

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