◆第63回
きさらぎ賞・G3(2月5日、中京・芝2000メートル、良)
第63回
きさらぎ賞・G3は5日、中京競馬場で行われ、名牝
ディアドラの半弟
フリームファクシ(川田)が断然人気に応え、
ディープインパクト産駒最終世代の一頭、
オープンファイアを頭差で退け、3連勝で重賞初制覇を飾った。クラシックの登竜門とも言われる一戦を、玉木宏征記者が「見た」。
後続を3馬身ちぎった一騎打ちを制した。名牝
ディアドラの半弟
フリームファクシが、粗削りながらも3連勝で重賞初制覇を飾った。道中は力んで、直線は早めにスパート。
オープンファイア(2着)の格好の目標になりながら、前に出ることを許さず頭差しのぎきった姿には強い精神力を見た。川田は「やはり課題は力みすぎるところです。すごく真面目な子なので、体が徐々に良くなって動けるようになり、進みすぎます」と肉体面の成長を喜びつつ、気を引き締めていた。
手放しで称賛するにはまだ早いということだろう。スタンド正面からの発走で、1角を過ぎて逃げたい
レミージュに前に入られ、
バランスを崩すシーン。須貝調教師が「こすられてスイッチが入ったけど、川田君がうまいこと我慢させてくれた」と振り返ったように、全4戦で手綱を執る鞍上の手腕も大きい。検量室前に引き揚げ、表彰式に向かうために背中に優勝レイをかける際も、馬が初めての経験で驚かないように、担当の山田助手が手で目の後ろを覆っていた。まだまだ敏感な面があると感じる光景だった。
次走について、須貝師は「これでクラシック路線には乗って行ける。馬の体調と、オーナーと相談しながらどこを狙っていくかですね」と具体的なレース名は避けた。ただ、無傷3連勝で
朝日杯FSを制した僚馬
ドルチェモアは
NHKマイルC(5月7日、東京)直行を明言。
皐月賞(4月16日、中山)に向かう公算が大きい。
G1級の素質は間違いない。鞍上は「ポテンシャルはG1でも手が届きそうですし、そういう思いで競馬を重ねてきました」と口にし、16年
日本ダービー(
マカヒキ)以来となる牡馬のクラシックに向け、手応えを隠さない。きょうは8頭立て。フルゲート18頭の3冠初戦で内枠でも引こうものなら、ゴチャついてエキサイトするリスクもあるが、勝利を収めたことで、課題克服へ心身の成長を待つだけの時間はある。(玉木 宏征)
◆
フリームファクシ 父
ルーラーシップ、
母ライツェント(
父スペシャルウィーク)。栗東・
須貝尚介厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算4戦3勝。総獲得賞金は5609万4000円。重賞初勝利。馬主は金子真人ホールディングス(株)。
◆姉
ディアドラは日英G1馬
フリームファクシの姉
ディアドラ(父
ハービンジャー)は現役時代、栗東・橋田満厩舎所属で16年7月に新馬デビュー。3戦目で勝ち上がり、牝馬3冠路線を皆勤し、
桜花賞6着、
オークス4着に敗れたが、
トライアルの
紫苑Sを勝って臨んだ最終戦の
秋華賞を制した。その後は海外を含めた重賞戦線を歩み、欧州に長期滞在していた19年夏の英G1・ナッソーSを制した。通算33戦8勝(うち海外14戦1勝)。
スポーツ報知