21年の
皐月賞、
天皇賞・秋、
有馬記念を制し、同年の
JRA賞年度代表馬に輝いた
エフフォーリア(牡5=鹿戸)の電撃引退が14日、決まった。所有するキャロットファームが公式サイトで発表した。今後は父
エピファネイアもけい養される北海道安平町の社台スタリオン
ステーションで種牡馬入りする予定。父が果たせなかったダービー、海外制覇の夢は産駒に託される。
年度代表馬の復活の夢はかなわなかった。再起を懸けた今年初戦の
京都記念。新馬戦から手綱を取る横山武が積極的に2番手を奪った。3歳時の闘志は戻ったかに見えたが、3〜4コーナー中間で勢いを失い、ゴール前で鞍上が下馬して無念の競走中止。レース後に心房細動の診断が下りた。
レース翌日の13日朝に美浦で検査を行い、心電図など異常はなかった。14日に所有するキャロットファーム、生産者のノーザンファームと鹿戸師が協議した結果、これまでの功労と今後を考え、現役生活にピリオドを打つ決断に至った。14日、鹿戸師は「僕にとっての宝物。ヒーローでした。残念ですけど、彼には種牡馬としての仕事もある。関係者と話し合って引退することになりました」と、しんみりと切り出した。
栄光と涙。激動の2年半の競走生活だった。3歳時の21年
皐月賞でG1初制覇。続く1番人気に推されたダービーは
シャフリヤールと約10センチの鼻差惜敗。父
エピファネイアと同じダービー2着だった。その無念を晴らすように
天皇賞・秋では
コントレイル、
グランアレグリアを一蹴してG1・2勝目。続く
有馬記念も制し、
年度代表馬に輝いた。
「鼻差で負けたダービーは思い出に残ります。毎日眠れなくて…。あれほどプレッシャーを感じたことはなかったです。師匠(藤沢和師=
グランアレグリアを管理)と同じG1で戦った
天皇賞・秋も思い出です」と鹿戸師。
今後は17日に美浦で再検査を行い、問題がなければ、同日中にノーザンファーム天栄(福島)に移動。同所で1泊した後、社台スタリオン
ステーションへ旅立つ。14日夕方、厩舎で愛馬をチェックした鹿戸師は「まだ使えるぐらいに本当にいい馬。だいぶ元気になって(脚部など故障がなく)無事で良かったと思います。できれば、
エフフォーリアの子で大きいレースを獲りたい。勝てなかったダービーを勝ちたいです」と熱く語った。早ければ今年中に種付けを開始し、来春には産駒が誕生する。
◆
エフフォーリア 父
エピファネイア 母ケイティーズハート(母の
父ハーツクライ) 18年3月10日生まれ 牡5歳 美浦・鹿戸厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績11戦6勝 総獲得賞金7億7663万6000円。馬名の由来はギリシャ語で「強い幸福感」。
スポニチ