2月28日朝の美浦トレセン。「お〜い! 」と声がしたので振り返ると、そこには大江原哲調教師の姿が。2月末で定年を迎えるため、26日の中山12Rで最後の出走馬を送り出しました。しばらく会えないと思って一緒に写真を撮ってもらったばかりでしたが、まさか中1日で会えるとは…。喜び勇んで駆け寄ると「この前写真を撮ったけど、まだ火曜もあると思ってたんだよ(笑い)」といつも通りの笑顔を見せてくれました。
28日が本当に本当のラストデー。調教師やジョッキー、多くの関係者から「お疲れさまでした」「ありがとうございました」と声を掛けられていました。
今週初めて障害戦に挑む予定の
ノアチェリーを見守りながら「この馬本当にかわいいんだよ。馬房の中ではすごくおとなしいんだ。未勝利だけど平場で2着とか3着に来ていた馬。休ませて背中やトモがよくなった。今日の飛びもよかった」と再出発に期待を寄せています。
オーシャンS(4日、中山芝1200メートル)には大江原厩舎にとって最後の勝利を飾った
グラスミヤラビがスタンバイ。柴田善騎手とのコンビで重賞に初挑戦です。「初戦で膝を骨折したんだけど、今はもう気にならないし、大きく崩れることのない馬なんだ」。3月1日付で
ノアチェリーは小笠厩舎へ、
グラスミヤラビは杉浦厩舎へ転厩しますが、師の愛情は色あせません。
3月からはこれまでできなかった馬券購入も可能に。今週は
ノアチェリーと
グラスミヤラビの応援馬券を買って、レースを見届けるそうです。本人も「初めての馬券を買います! 」と張り切っていました。71年に騎手デビューし、97年に開業。52年の競馬人生を「悔いはない」と振り返ります。最後の厩舎ミーティングを前に「泣けないから、これを持ってきたんだ」と右ポケットから目薬を取り出す姿はちゃめっ気たっぷり。この笑顔を当面見られないのは寂しいですが、「またな! 」とさわやかに言った師の言葉を真に受けて、案外すぐに会えるかも!? と期待しておきます。
(美浦の卒業写真・三嶋まりえ)
東京スポーツ