近年のクラシックは前哨戦を挟まない直行ローテが王道のひとつになりつつある。このパターンで記憶に新しいのは
コントレイル。
ホープフルSから
皐月賞→
日本ダービーの直行ローテで、のちの無敗三冠の偉業につなげてみせた。
このような大きな成果が出ると、どうしても新たなトレンドとして目がいきがちになるものだが…。馬にはそれぞれ個性がある。ゆえに正解も十人十色、いや“十馬十色”。直行ローテとは逆に、キャリアを積みながら力をつけていくのもまた正解のひとつであることを忘れるべきではないだろう。
4.16
皐月賞トライアル・GII
弥生賞ディープインパクト記念(5日=中山芝内2000メートル)に出走する
トップナイフは、すでに7戦のキャリアを誇る叩き上げ。前走の
ホープフルSは7番人気での2着激走ながら、担当の黒羽根助手は「手応えは持っていたんです」とキッパリと言い切る。その根拠となっていたのは…。
「新馬から未勝利を勝つまで(横山)和生君がしっかり下地をつくってくれて、それにノリさんがプラス
アルファでいろいろ教えてくれた。北海道の時は細かった馬体も萩S(1着)くらいから変わってきて、いい成長をしてくれていましたから」
昆厩舎×横山ファミリーのタッグで、競馬を使いながら素質に磨きをかけてきた。その“錬度”の高さが、大きなアドバンテージになったと振り返る。
無論、クラシック戦線で生き残っていくには3歳を迎えての伸びシロも重要な要素。果たして
トップナイフの成長度合いは?
「高いレベルでジワジワと。
ホープフルSがあの当時でのしっかりした仕上がりだったとするなら、今のこの馬にとっては7〜8割くらいの感覚。それくらいのところまで成長をしているんじゃないかな」
この中間は前走の状態を維持しながら、足りない部分を補うイメージで調整を重ねてきた。
「完歩が大きくなって、推進力をよりうまく前に伝えられるようになった。同時に踏み込みも深くなって、その後の蹴り返しもしっかりしてきた印象です」
ここにきて馬体の厚みがさらに増し、課題だった背腰の甘さにも改善が見られるという。
着実に自身の道を進みながら、進化を遂げる
トップナイフ。デビューから実に8戦目となる
弥生賞でどんな走りを見せてくれるのか、今から楽しみで仕方ない。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ