およそ2年半を経て、京都競馬場にGIの蹄音が戻ってくる。4月30日(日)に行われる
天皇賞(春)(4歳上・GI・芝3200m)にちなみ、名勝負をプレイ
バック。本稿では
ゴールドシップが勝った2015年を振り返る。
ゴールドシップは
父ステイゴールド、
母ポイントフラッグ、母の
父メジロマックイーンという血統。同じ父・母父の組み合わせから、
オルフェーヴルなど多数の活躍馬が誕生しており、強力なニックスの関係として知られる。
■掟破りの超ロングスパート
菊花賞で勝利した経験はあったが、京都は鬼門の舞台だった。13年の
天皇賞(春)は単勝1.3倍に支持されたが5着で、同14年はゴール後に鞍上が下馬するアク
シデントもあり7着。戦前に須貝師も「今年こそはと思っている」と述べ、“三度目の正直”にかける思いは強かった。
ファンファーレが鳴り、決戦の時。ファンが見つめる先の
ゴールドシップは枠入りを激しく嫌い、最後は目隠しをしてゲートに入る。そしてスタートすると、二の脚がつかずに最後方。発走前からファンの注目を集めた芦毛の馬体は、18番手という厳しいポジションからの競馬となり、スタンドからはどよめきが起こった。
1000m通過が1:01.4、2000mが2:03.2という長丁場らしいスローで、切れ味に劣る
ゴールドシップには厳しい展開に思えた。だが、名手・
横山典弘騎手は掟破りの競馬を展開。「抑えて上り、抑えて下る」が定石とされる“淀の急坂”で仕掛け、
菊花賞を再現するような超ロングスパートに勝機を見出す。
鞍上の叱咤に応え、大外から進出すると4コーナー手前で4番手まで浮上。一息入れて直線に入るとぐんぐん加速し、先に抜け出した
カレンミロティックをとらえる。ゴール前で
フェイムゲームが勢いよく追い込んできたが、クビ差届かず2着が一杯。常識外れのスタミナとパワーを存分に引き出す好騎乗で「春の盾」をつかみ獲った。
レース後、横山典騎手は「馬と私の戦いでした」と振り返り「勝ったのは
ゴールドシップのほうだった」と続けた。名手を以てしても“予測不能”な能力と個性。最後には「たまに真面目に走ってくれればいいですね」と冗談を交えてインタビューを結んでいる。破天荒だけど強い。“ゴルシ”の魅力を再認識したGI・6勝目だった。