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【96年天皇賞(春)プレイバック】遅咲きの大輪 サクラローレル

  • 2023年04月29日(土) 18時00分
 およそ2年半を経て、京都競馬場にGIの蹄音が戻ってくる。4月30日(日)に行われる天皇賞(春)(4歳上・GI・芝3200m)にちなみ、名勝負をプレイバック。本稿では1996年の同競走を振り返る。

 勝利したサクラローレル父Rainbow Quest母ローラローラ、母の父Saint Cyrienという血統。近親にダートで活躍したタイムパラドックスがいる。

■苦難乗り越え咲いたサクラ

 レース前、各所で2強対決の見出しが踊った。前哨戦の阪神大賞典で3着を9馬身ちぎり、アタマ差の接戦演じた2頭が圧倒的人気。連敗からの復活期す3冠馬ナリタブライアンが1.7倍、前年の有馬記念を制したマヤノトップガンが2.8倍だった。3番人気のサクラローレルは14.5倍。やはり、ファンの視線は2頭に注がれていたということだろう。

 サクラローレルは生まれつき身体が弱くデビューも遅かった。4歳時には青葉賞で3着に入り、ダービーの出走権利を手にしたが脚部不安で回避。同期のナリタブライアンが3冠を達成する一方、すっかり陰に隠れていた。だが、古馬になると徐々に本格化。95年の中山金杯で重賞初制覇を飾り、続く目黒記念でも2着に入る。

 ところが、好事魔多し。天皇賞(春)に向けた追い切り中に両前脚を骨折し、一時は命さえも危ぶまれる事態になった。懸命の治療は長く続き、戦列復帰は約1年後。主戦の小島太騎手が引退し、新たなコンビ横山典弘騎手中山記念に出走すると、外から鋭い末脚で差し切り勝ち。前年に出走が叶わなかったGIの舞台に駒を進めてきていた。

 話を96年の天皇賞(春)に戻そう。スタートが切られるとテイエムジャンボスギノブルボンが勢いよく飛び出し、後続を引き離して大逃げの形。マヤノトップガンは前から離れた4番手で、すぐ後ろにはナリタブライアンがいた。サクラローレルは内に潜み、2強を見る絶好位。はやる気持ちを抑えながら脚を溜める。

 向正面に入ると一気にペースが緩み馬群が凝縮。サクラローレルはいつの間にか馬群の外に出し、2強の真後ろで虎視眈々と機をうかがう。しかし、ファンの視線はトップガンvsブライアン。4コーナーでマヤノトップガンが先頭に立ち、満を持してナリタブライアンも追い出す。1馬身、2馬身と差を開いていく。ナリタブライアンの復活か――。歓声に包まれ、多くのファンが思った瞬間、並ぶ間もなく抜き去ったのがサクラローレルだった。

 ナリタブライアンを2馬身半置き去りにして待望のGI初制覇。雪に耐えて梅花……いや、桜花麗し。苦労と挫折の先にあったのは、季節外れながら満開の桜だった。

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