「武史と勝ててうれしいよ」。
皐月賞で
ソールオリエンスを出迎えた名畑助手は、横山武とがっちり握手を交わした。それぞれ厩務員と騎手の卵だった競馬学校時代に在籍期間が重なった縁。同じく担当する
シュネルマイスターは横山武とのタッグで21年
マイルCS2着に惜敗。「あと一歩のところまできていたので、今までとは違ったうれしさもありました。学校生時代に武史をおんぶした記憶もあります」と特別なG1勝利を笑顔で回顧した。
ダービーで1番人気が確実。「今はほどよい緊張感で
リラックスもできています。これまでの経験が大きいと思います」。
フィエールマンと挑んだ19年の
天皇賞・春は緊張で手の震えが止まらなかった。直前でラ
イバルの
シャケトラが不出走となり1番人気に。「人生で一番緊張しました。G1の1番人気はプレッシャーが段違いでしたね」。だが、堂々とパドックを周回する
フィエールマンが勇気づけてくれた。重圧をはねのけ、ファンの支持に応えた充実感は何にも代えられない。「無敗の
皐月賞馬が人気するのは当然。
フィエールマンがくれた経験を生かしていければ」
覇王
テイエムオペラオーの強さに憧れた青春時代。牧場勤務を経て、当時の応募資格ぎりぎりの28歳となる年に競馬学校に合格し、トレセン入り後10年たたずに3頭のG1馬と出合った。「これまで運がたまっていたのかな」と頬を緩めた後「こうなるとは想像していなかったですけど、任されたからには自分ができることをしっかりやっていきたい。今まで通りの脚を使ってくれれば、一番いい結果が出ると思っているので」。36歳、ダービー初出場。
ソールオリエンスと王道を歩むべく、覚悟を決めている。
◇名畑 俊(なばた・しゅん)1986年(昭61)6月19日生まれ、新潟県出身の36歳。手塚厩舎所属の調教助手。競馬好きの父親の影響で中学時代から友人と競馬の話題で盛り上がった。主な担当馬は
フィエールマン、
シュネルマイスター、
ソールオリエンス。趣味は読書。
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