◆第64回
宝塚記念・G1(6月25日、阪神・芝2200メートル)
春のG1シリーズ最終戦、第64回
宝塚記念・G1(25日、阪神)は、
天皇賞・春でG1初制覇を果たした
ジャスティンパレスが、
鮫島克駿騎手(26)=栗東・フリー=を背に“世界一”撃破に挑む。
頼れるパートナーが戻ってきた。鮫島駿は
宝塚記念で
ジャスティンパレスの鞍上に指名された。「びっくりしましたけど、うれしかったです」。前走で
天皇賞・春を勝利した主役の一頭だ。「G1ホースの手綱を任せてもらえて光栄なこと」と喜んだが、その裏にはレースに騎乗できなくても、黙々とパレスの調教に乗る日々があった。
開花は、もう目の前だった。今年の
桜花賞。鮫島駿は
コナコーストで3/4馬身差の2着。さあ、と期待がかかった
オークスは、レーンに乗り替わり。「騎手は1着でしか評価されないと思っているので」。悔しさをかみしめるしかなかった。
パレスも昨年の
菊花賞で半馬身差の3着。その後はマーカンド、ルメールと乗り替わったが、その間も駐立練習を自ら行ってきた。ゲート内の難しさがあり、初コンビの
神戸新聞杯から携わってきた結果、今年の2戦はスタートが安定。腐らず、あきらめず―。地道な努力を続けた結果、自らも再び騎乗機会を得た。
14日の1週前追い切りでは栗東・CWコースで6ハロン79秒6―11秒4。3ハロン35秒6はこの日の最速で「前重心だった走りが、
バランスが良くなり、体を起こして走れるようになってきた。後肢の踏み込みに力強さが加わった」とうなずいた。16日に駐立も確認し「ここ2戦を見ると、スタートしてからポジションが取りやすくなっている。そのぶん、道中のリズムが良くなった」。何度もまたがってきたからこそ、成長に手応えを感じている。
昨年の
有馬記念で
イクイノックスにつけられた差は1秒1。決定的に思えるが「(
ジャスティンパレスも)G1馬になったことで、風格が出てきたと思う。前よりも堂々としている」と頼もしそうに相棒を見つめた。その上で「世界1位の馬もいるけど、
ジャスティンパレスならくつがえせるんじゃないかと。人馬一体で頑張りたい」。G1ジョッキー仲間入りへ、26歳の若武者は大きな花を咲かせる。(山下 優)
スポーツ報知