ラジオNIKKEI賞(7月2日=福島芝1800メートル)はサ
マーシーズンに芝中距離で行われる唯一の3歳重賞。例年、「秋の飛躍を目指して」といった枕ことばがワンセットで使われるレースだが…。本音を言えば、小回り福島のハンデ戦が秋の王道路線につながるのか、少なからず懐疑的な印象を持っていた。
しかし、実際はどうだ。昨年の勝ち馬
フェーングロッテンは古馬と初対戦となった続く
新潟記念で3着と気を吐き、以降も芝中距離重賞戦線でコンスタントに活躍。また18年の勝ち馬
メイショウテッコンは次戦の
神戸新聞杯でも3着に好走、何より2着
フィエールマンは直行ローテで見事に
菊花賞馬の座を射止めた。
そう、改めて歴史を振り返れば、ローカル重賞のイメージ以上に秋へとつながっている。その理由はどこにあるのか?
バルサムノートを出走させる高野調教師が思わず納得の話をしてくれた。
「小回りで勝ち切るには、いろんな技と力が必要。そういったものを兼ね備えている馬が勝ち上がっている。それが秋につながっていく理由なのかなと思います」
ゆえに指揮官が
バルサムノートに求めるのは、格上挑戦で勝利した前走の
白百合Sからさらに一段上のパフォーマンス。
「ジョッキーが他の馬に関係なく自信を持って、きっちり位置を取ったうえで、スムーズに折り合って、安心して追える。そんなレースができるように磨いていければ」
全体的に言えばレースぶりの上達であり、部分的に言えば口向きの改善がポイントとなろうか。もっとも前走で見せた口向きの課題については「身体的なものではなく、精神的なもの」とトレーナーは強調する。
「あのレースだけを見ればビジュアル的に口向きがどうかと思われるでしょうけど、調教では口向きの悪さは見せていないんですよ。普段、嫌なことがあると並足で肩からグッと行く場面があるので、そういうところが競馬で出たのかなと」
であれば、立ち回りや気持ちひとつで課題克服は達成可能なミッション。走りの成熟度を測るうえで、小回り福島への出走はいい機会とも言えるだろう。
「もともと力はあると思っていた馬。成長している感じもありますし、さらに良くなってほしいなと」
バルサムノートが高野調教師の地元・福島での重賞初タイトルを届けることができれば、それこそ秋にはさらにビッグなプレゼントも…。そんな期待を持って、この一戦を見届けたい。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ