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【中京記念】パンサラッサと世界一!名物厩務員の池田康宏氏、ホウオウアマゾンと「最後の夏」への思い語る

スポーツ報知
  • 2023年07月18日(火) 06時00分
◆第71回中京記念・G3(7月23日、芝1600メートル)

 第71回中京記念・G3(23日、中京)に出走するホウオウアマゾンを担当するのが池田康宏厩務員=栗東・矢作厩舎=。今年のサウジCを制したパンサラッサも担当する名物厩務員は、「最後の夏」への思いをデビューから手がける愛馬に託す。

 16歳で競馬の世界に飛び込んだ池田厩務員。馬とともに歩んできた49年間も9月いっぱいで終わりを告げる。“集大成”のラストサマーホウオウアマゾンに自身の思いも託し中京記念に挑む。

 「夢は瑠星で重賞を勝つこと。瑠星も『勝ちたい』と言ってくれているし、定年までに何とか一緒に勝ちたい」。矢作厩舎に所属する坂井は、デビュー当初からG1ジョッキーに成長するまでの過程を見守ってきた。「チャンスは何度もあったけどね」。アマゾンとのコンビでも9度重賞に挑戦したが、21年阪神C、22年マイラーズCで2着とあと一歩届いていない。今回こそ、の思いだ。

 山あり谷ありの厩務員人生だった。10年JCダートのグロリアスノアは首差2着、18年中山大障害タイセイドリームは鼻差2着。「定年も近づいていたし、G1はもう勝てないんじゃないか…」。そんな諦めに似た感情が頭をよぎった時に出合ったのが、もう一頭の担当馬のパンサラッサだった。

 「途中から覚醒する馬も珍しい。エリートだったわけじゃないからね。裏街道というか、雑草からはい上がった」。G1初制覇のドバイ・ターフは同着。現地スタッフから英語で伝えられた「デッドヒート(同着)」の意味が分からず、レース後もバタバタしたため、実感が湧かなかった。しかし、逃げ切ったサウジCは勝利を確信。歓喜の涙、足の震えが止まらなかったという。

 パンサラッサは右前脚繋じん帯炎で休養中。残りの約2か月は入厩時から担当し、G1ウィナーに負けない愛着を持つアマゾンに全力投球する。「ここで結果が出れば先が楽しみになる」。結果次第ではサマーマイル王者を目指し、関屋記念(8月13日、新潟)、京成杯AH(9月10日、中山)も視界に入る。定年間際でG1制覇という夢をつかんだ池田厩務員。最後の夏はどんなドラマが待っているのだろうか。(戸田 和彦)

【矢作調教師「古き良き時代の厩務員」】

 05年の開業以来、苦楽を共にしてきた矢作調教師は、池田厩務員を「古き良き時代の厩務員」と評する。仕事ぶりは“アナログ”。「データでは表せない感覚的な馬の仕上げ、作り方。いわゆる、腕を持っている」と信頼を寄せる。しかし、その腕におごりも見せない。「色んなことに好奇心も強くて、勉強熱心なんだろうね。経験プラスそういう部分だと思う」とうなった。

 開業当初は「部屋頭」と呼ばれ、スタッフを束ねていた。今は周囲を明るくするムードメーカーでもある。関係者が多く集まる厩舎の忘年会の大トリに、謎かけと一本締めを行うのは恒例行事だ。「年を取って、余計そういう円熟味が増した」。学びを止めない姿勢と朗らかな人柄が、名門厩舎を支えてきた。

 ◆主な名物厩務員

 ▽今浪隆利 須貝厩舎で超個性派ながらG16勝を挙げ「怪物」と言われたゴールドシップを担当。その後、白毛のソダシをデビューから手がけ、G13勝をサポートした。先月末で定年引退した。

 ▽山口慶次 松田博資厩舎(当時)で2冠牝馬ベガを始め、ブエナビスタハープスターなど数々の名牝を担当。牡馬もベガの子、アドマイヤドンなどを手がけた。現在は池添厩舎に所属。

 ▽池平勉 橋口弘次郎厩舎(当時)に開業当初から所属。菊花賞ダンスインザダークを始め、ローズキングダムツルマルボーイなどのG1馬を担当。現在は橋口弘師の長男・橋口慎介師の厩舎に所属。

 ▽竹邑行生 瀬戸口勉厩舎(当時)所属時にオグリキャップの妹、オグリローマンで1994年の桜花賞を制覇。05年にG1を2勝したラインクラフトも担当した。現在は松永昌厩舎に所属。(敬称略)

 ◆池田 康宏(いけだ・やすひろ)1958年7月16日、大阪府生まれ。65歳。渡辺栄厩舎で厩務員だった父・康雄さんの背中を追いかけ、74年に松永善晴厩舎で厩務員となり、05年の同厩舎の解散とともに矢作厩舎へ移籍。1984年の京都大障害(春)をポットヒーローで担当馬で初の重賞制覇。パンサラッサのG12勝を含む重賞11勝をマークしている。

スポーツ報知

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