ここまで複数の重賞を勝つ馬が現れなかった今年の門別2歳戦だが、先週の
ネクストスター門別でそのジンクスは終了した。勝ち馬
トラジロウは2着馬に4馬身差をつける圧勝で、ジンクスを打ち破るにふさわしい勝ちっぷりだったわけだが、勝ちタイムは1分14秒0に留まった。敗れた他の多くの馬たちも走れるタイムであり、勝ちっぷり(=着差)と走破タイムの間に、何とも受け入れがたい乖離がある。改めて今年の馬場の難しさを印象づける結果でもあった。
さて、今週行われるブロッサムCは、例年混戦になりやすい、2歳牝馬の中距離重賞だ。メンバーを見る限り、9月初旬に行われたフ
ローラルCの再戦ムード。ならばまずはその勝ち馬
アメリアハートを評価しておくべきだろう。追って確かな末脚と勝負根性が特長の馬で、フ
ローラルCでは狭い馬の間をこじ開けるようにして差し切った。ここへ向けた調整の一環としてオープンを一戦挟み、2つ目の重賞タイトルへ向けた態勢はバッチリである。
ただ、そのフ
ローラルCは内回りマイル特有の消耗戦で、流れに乗った馬たちが総じて崩れるかなり特殊な展開だったことも事実である。今回は外回りの1700mに舞台が変わり、また、前回にはなかった斤量の差も生まれている。フ
ローラルCだけで勝負付けが済んだと考えるのは早計だ。2着だった
ハニービートは、その厳しい流れの中で早めに動き、直線で一旦抜け出した内容を高く評価できる。3着だった
ヴィヴィアンエイトは、外から急追したゴール前の脚色が目立った。外回りに変わって逆転も見込めそうだ。
もう少し突き詰めて、フ
ローラルCのレースレベル自体を疑えば、別路線組にも狙い目が出てくる。リリーC4着、フルールC5着で地力を示している
ミライヘノメグミ、今回と同じ外回り1700mで2着だった前走が好内容の
ケンタッキーグレイなどがその候補だ。
名前を挙げられなかった馬も含め、決定的な実力差はない。思い切った高配当狙いをしてみても面白いレースだろう。
(文:競馬ブック・板垣祐介)