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現役引退のパンサラッサ 種牡馬としての可能性を探る

  • 2023年11月28日(火) 12時05分
 28日、国内外で大活躍したパンサラッサ(牡6、栗東・矢作芳人厩舎)の現役引退が報じられた。

 記憶にも記録にも残る、実に個性的な馬だった。思えばデビュー3戦目の初勝利から衝撃的。不良馬場を味方につけて、2着に2秒5差の超楽勝だった。3歳夏に1勝クラスを制して以降、オープンでは勝ち切れなかったが、4歳秋のオクトーバーS吉田豊騎手とコンビを組んだことが、素質開花の引き金となった。ここで久しぶりに大逃げを打つと、プレシャスブルーの追い上げをアタマ差凌いでオープン初勝利。続く福島記念では菱田裕二騎手に乗り替わったが、再度の大逃げで重賞初制覇を果たした。

 そして5歳を迎えた22年、パンサラッサの名前が世界にとどろくこととなる。吉田豊騎手とコンビを再結成し、中山記念で2つ目のタイトルを獲得すると、初の海外遠征となるドバイターフに参戦。猛追してきたロードノース、ヴァンドギャルドとの長い写真判定の末、ロードノースとの1着同着という意外な形でGI初制覇を果たした。秋には天皇賞(秋)で大逃げから粘りに粘り、イクイノックスルメール騎手を大いに慌てさせる2着。そして6歳となった今年、1着賞金1000万ドル(当時のレートで約13億円)のサウジCにチャレンジ。2回目のダート戦ということで下馬評は高くなかったが、カントリーグラマー以下の猛追を凌いで押し切り、2つ目のGIタイトルを獲得した。

 来年からは種牡馬となるが、その可能性はどうか。芝ダート双方で世界トップレベルのGIを逃げ切ったように、スピードとスタミナを兼備した異能の中距離ランナー。実績、実力は申し分ない。そして血統的な魅力もある。父ロードカナロアは既にサートゥルナーリアダノンスマッシュといった後継種牡馬を送り出しているが、パンサラッサの最大の魅力は「サンデーサイレンスの血を持たない超一流中距離馬」ということ。ロードカナロアの後継種牡馬としては唯一無二の存在であることは間違いない。さらには産駒から見て、キングカメハメハが3代前となるのもセールスポイント。ロードカナロア産駒以外の繁殖牝馬とは、ほぼ交配が可能となる。

 社台スタリオンステーションに繋養されているトップサイアーと比較すれば、少々地味な存在かもしれないが、アッと驚かせるのは得意中の得意。産駒が世界のビッグレースを制する日を楽しみにしたい。

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