米国の歴史的名馬を父に持つ
ワイドラトゥール(牝3、栗東・
藤原英昭厩舎)が、
チューリップ賞(3歳牝・GII・芝1600m)で重賞初制覇に挑む。
ワイドラトゥールは父
カリフォルニアクローム、
母ワイドサファイア、母の
父アグネスタキオンの血統。父は14年の
ケンタッキーダービーや16年の
ドバイWCなどG1を7勝した歴史的名馬。14年と16年の米
年度代表馬に選ばれ、23年には米競馬殿堂入りを果たしている。一方の母系も優秀で、母は09年の
フローラSの2着馬。
オークスの返し馬で放馬し、芝コースを2周した末に競走除外となったシーンを記憶しているファンも多いだろう。そして半兄の
ワイドファラオは20年の
かしわ記念の覇者。3歳時の19年には芝のニュージーランドTとダートの
ユニコーンSを制するなど、芝ダート二刀流のマイラーとして息長く活躍した。
ワイドラトゥールはここまで3戦2勝。昨年10月の新馬(新潟芝1600m)を楽勝。続く
ファンタジーSは出遅れた上、多頭数でチグハグな競馬となって10着に大敗したが、これで終わる馬ではなかった。前走の
紅梅Sは出遅れも何のその、中団後ろから外を回し、力の違いを見せつける差し切り。まだまだ粗削りな面は目に付くが、血統が示す通りのスケール感がある。今回は一気の相手強化、さらにはデビュー戦以来の1600mとなるが、
桜花賞に向けて避けては通れない道だ。
本邦初年度となる
カリフォルニアクローム産駒の現3歳世代は、
JRAで56頭がデビューして13頭が勝ち馬。2勝馬は
スプリングノヴァ、
ネグレスコ、
ワイドラトゥールの3頭のみ。競走馬時代の実績、そして400万円の種付料(受胎条件)を考えると、やや物足りない面がある。それだけに初のオープン勝ち馬となった
ワイドラトゥールにかかる期待は大きい。ここで父に初の
JRA重賞タイトルを届けるとともに、クラシックの主役候補へと浮上したい。