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うるう年の2月29日からはじまった“無観客開催” 歓声なくともレースは止まらなかった4年前

  • 2024年02月29日(木) 07時00分
 2024年は4年に1度の「うるう年」であり、きょう2月29日は「うるう日」。過去の出来事を振り返ってみると、今も親しまれる「ビッグコミック」の創刊(68年)や、近年ではスカイツリーの完成(12年)があったが、競馬界にも忘れられない出来事があった。4年前の20年2月29日、新型コロナウイルス拡大防止のため、54年のJRA創立以降初となる無観客開催での競馬が実施。競馬場から歓声が消える日々の始まりとなった。

 同年の年始より、世間の話題の中心となっていた新型コロナウイルス。海外では2月8日に香港・シャティン競馬場で無観客でのレースが実施されていた。日本でも死者が発生し、人が集まる機会に対して、クラスター発生防止の観点から制限をかける動きが現れた。この頃に示された政府による対策の基本方針では、イベントに関し「開催の必要性を改めて検討するよう要請」との一文が盛り込まれ、シーズンが始まっていたサッカーJリーグでは試合延期を決定。競馬界でもJRAをはじめ、地方競馬でも無観客開催を発表した。

 29日は中山・阪神・中京の3場開催。天気もファンの心の中を表すかのように、阪神や中京では小雨もパラつくあいにくの空模様だった。それでもレースはいつものようには進行していく。声援や拍手は当然のごとくなく、淡々と実況放送のみが流れる場内。この日、同年のオークス3着となるウインマイティーも中山9R・デイジー賞を制しているが、普段のような歓声はなく、実況アナウンサーの声だけが響渡っていた。

 JRAにおける無観客開催はさらに続いた。3月29日には高松宮記念でGI史上初の無観客での実施。同年の春のGIシーズンは、コントレイルが勝ったダービーも含めてラストとなる宝塚記念まで、観衆を入れない形で行われた。スタンドの風景は寂しいものだったが、一方で競馬は止まらなかった。サッカーも野球もバスケットボールもシーズンの中断や開幕延期、打ち切りが発生したが、中央競馬での中止はなし。自粛生活を強いられる中、人々はメディアを通じて熱戦に見守り続けた。

 ようやく入場再開となったのは、夏が過ぎて秋のこと。10月10日の開催から事前に開催場の指定席購入者に限定する形で再開した。チケットはネットの抽選販売のみで、東京・京都・新潟の3場を合わせても1日あたりの発売席数が2400程度。すぐにもとの姿とはならないものの、初の無観客開催から半年が経って、レースの生観戦ができるようになった。

 その後、緊急事態宣言の発令により無観客で開催されることもあったが、22年5月のオークス日本ダービー週には、東京競馬場で7万人以上の入場が可能に。23年には新型コロナウイルス自体の分類が「5類感染症」へと変更され様々な制限が撤廃。今日では多くのファンが競馬場へと足を運ぶ。しかし日常を取り戻した今だからこそ、きょうだけは4年前の「当たり前」が消えた日々を忘れずにいたい。

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