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ドバイで勝利した初の日本馬「ステイゴールド」 仔や孫にも受け継がれる世界での強さ

  • 2024年03月27日(水) 08時19分
 今年もあと3日に迫ってきたドバイワールドカップデー。昨年もウシュバテソーロがドバイワールドCを制するなど、日本勢はこれまで延べ19勝を挙げてきたが、そのドバイで勝利した初の日本馬を知っているだろうか。第一号となったのは、01年のドバイSCを制したステイゴールドだ。個性的なキャラクターで愛された名馬が、異国の地で大金星を挙げた。

 400kgそこそこの小柄な馬体だが気が強く、ときには他馬へ噛みつきにいくほど。そして何より、勝ち切れなくとも懸命に走る姿が、多くのファンから支持を集めた。97年9月に阿寒湖特別を勝って以降は、白星になかなか恵まれず。熊沢重文騎手とのタッグでは計24回の重賞挑戦で、2着7回、3着7回の成績。人はステイゴールドシルバーコレクター、ブロンズコレクターなどと呼んだ。

 00年も初戦から善戦が続いていたが、1着は遠かった。だが、武豊騎手にスイッチして挑んだ目黒記念では、これまでの決め手不足だったイメージを払拭。上がり最速の末脚を引き出し、1.1/4馬身差の完勝で初タイトルを手にした。その後は再び連敗を重ねたが、01年初めには藤田伸二騎手の手綱で日経新春杯を制覇。そして、その勢いのままに海外へ遠征することになる。僚馬トゥザヴィクトリーの帯同馬として、武豊騎手ドバイSCに挑戦することになった。

 同レースでは、欧州最強クラスのファンタスティックライトと再戦する。前年のジャパンCで先着を許した相手。同馬はドバイSCの連覇がかかっていただけではなく、のちに欧州年度代表馬&米国の芝チャンピオンに選ばれるほどの実力を持っていた。その強豪を相手することに加えて、日本馬がドバイで未勝利だったことや、輸送で馬体重を減らしたこともあり、ブックメーカーはステイゴールドに16頭中12番人気タイとなる単勝34倍を提示した。

 この低評価に反発したのか、ステイゴールドは怒りの激走を見せる。スタートするとスッと控えて、中団の内ラチ沿いで脚を溜めると、直線は押し切り図るファンタスティックライトを猛追。一度は相手が完全に抜け出して勝負あったかに思われたが、ぐんぐん脚を伸ばして最後は並んだままゴールした。写真判定の結果が映し出されると、陣営からは歓喜の声。ハナ差でステイゴールドに軍配があがった。あれだけ歯がゆい競馬が続いていたのにどうして。気の強さ、そしてタフさが、世界の大舞台にマッチしたのだろうか。強豪を下して、大金星を飾った。

 ステイゴールドはその後、現役ラストランとなった香港ヴァーズでついにGIタイトルを獲得し、通算50戦におよぶ旅路を終えた。海外では2戦2勝の成績を残したが、その強さは仔や孫に受け継がれている。

 凱旋門賞で2年連続2着となったオルフェーヴル、香港G1を2勝したウインブライトをはじめ、ナカヤマフェスタステイフーリッシュなども世界で活躍。さらに孫世代では、オーソリティがサウジで重賞を勝ち、マルシュロレーヌがダートのBCディスタフを制すなど、“ステイゴールド一族”は、さまざまな国、そして条件で存在感を見せている。

 今年のドバイ遠征馬を見れば、ウシュバテソーロドゥラエレーデアイアンバローズの3頭が彼の血を引く。すでに海外で結果を残している2頭はもちろん、前走のサウジG3では12着だったアイアンバローズの巻き返しにも期待したい。迫る世界の大舞台で、日本馬が新たな勲章を手に入れるだろうか。

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