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GI/JpnI・45勝への第一歩は桜舞台 福永祐一“騎手”乾坤一擲の手綱さばきから25年

  • 2024年04月03日(水) 07時30分
 騎手引退から早くも1年が経ち、今年3月に待望の厩舎開業を迎えた福永祐一調教師。ジョッキーとしては国内外でGI/JpnI・45勝を挙げ、日本競馬の名場面を彩ってきた。その第一歩となったのは、いまから25年前の桜舞台。天才・福永洋一元騎手の息子として、デビューから注目され続けた22歳の若武者が、25回目のチャレンジにしてつかんだビッグタイトルだった。

 1999年の桜花賞を表すなら、ハイレベルかつ混戦模様。人気は割れていたが、好メンバーが揃っていた。中でも主役と見られていたのは、3戦3勝で駒を進めてきたスティンガー。前年暮れ、史上最速となるデビューから29日でGIタイトルを手にした“天才少女”が1番人気に支持された。だが、単勝オッズが3.8倍にとどまり、混戦に拍車をかけたのは、直行ローテも原因だろうか。当時は前哨戦を挟むことがセオリーとされ、4カ月の休み明けに不安を感じたファンも多かったものと思われる。

 ほかにも、生涯で重賞4勝を挙げるフサイチエアデール、古馬となってからエリザベス女王杯を制すトゥザヴィクトリーをはじめ、デビューから3着を外していなかったゴッドインチーフ、次走でオークスを勝利するウメノファイバーなどが出走。それまで、そして将来の活躍馬が数多く揃って、難解な一戦となっていた。

 福永騎手がタッグを組んだのはプリモディーネだ。前年のファンタジーSを制していたが、人気薄での勝利だったこともあり、フロック視する見方もあった。また、軽いフレグモーネで阪神3歳牝馬S(現・阪神JF)を使えず、前哨戦のチューリップ賞も4着に敗戦。そして何より、単勝8.9倍の4番人気にとどまったのは、当時のコース形態にも要因がある。

 改修前の阪神芝1600mは最初のコーナーまでが近く、内枠が超有利とされていた。外を回らされたくない馬でポジション争いが激化し、ハイペースになりやすく、いつしか「魔の桜花賞ペース」なる言葉が生まれたほど。そんななか、プリモディーネが引いたのは7枠14番。弱冠22歳の福永騎手が外枠を克服できるのか。ファンはGI初制覇を期待しつつ、不安も感じていた。

 しかし、レースではこれ以上にない「乾坤一擲」の手綱さばきを披露する。五分のスタートから後方に一旦控えると、残り半マイルあたりから徐々に進出。4コーナーでは加速しながら進路を探し出し、外に振られすぎず、スピードを殺しすぎない、絶妙のコース取りで前との差を詰めた。直線入口でフサイチエアデールの背後に付けたプリモディーネは、前がひらくと限界まで溜め込んだ末脚が爆発。内で押し切り図るトゥザヴィクトリー、馬場の真ん中伸びるフサイチエアデールを一気にとらえ、混戦模様を断ちきるスカッとした差し切り勝ちを見せた。

 そうしてGIジョッキーの仲間入りを果たした福永騎手は、以降27年間の騎手生活において、記録にも記憶にも残る活躍を見せる。国内外で挙げたGI/JpnI・45勝は歴代3位タイ。コントレイルの三冠達成、シーザリオの日米GI制覇、ジャスタウェイのドバイDF圧勝など、数々の快挙と、福永騎手の騎乗姿が思い浮かぶ。

 現在は立場を変えて、調教師として第一歩を踏み出したばかり。ゆくゆくはGIの舞台に帰ってくることを期待して、初白星の知らせを心待ちにしたい。

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