東日本大震災からの復興を目指す競馬王国・岩手の星が、府中で力強く動き出す。「あの日から“時”が止まっている感じでね」とは
ロックハンドスターを管理する瀬戸幸師。家族や管理馬に大きな被害はなかったが、まれにみる震災は師ばかりでなく、多くの人の心を揺らした。「成績が上がってくれば、自然と動いてくると思うけどね」と静かにほほ笑んだ。
01年の開業から9年目の09年。初めての重賞タイトルをもたらしたのが
ロックハンドスターだ。3歳になり、岩手ダービー・
ダイヤモンドCを圧勝して頂点へ。大井へ遠征した
ジャパンダートダービー、
黒潮盃では跳ね返されたが、地元に戻って
不来方賞、ダービー
グランプリを連勝し3冠を達成。さらに年末の
桐花賞では古馬も圧倒した。
さらなる飛躍が期待された今年だが、勝ち星には恵まれていない。「震災の影響もあったし、昨年からの疲れもあったかな」。夏場はじっくりと休養に充てられた。久々の前走では6着だったが「使ってだいぶ持ち直してきて、中間も順調にきている。今年のなかではベストの状態に持ってこられている」と再び上昇曲線を描き出したことを強調した。
震災の苦しみから、復興への道をたどるなかで、若き岩手の星が強力な
JRA勢の壁に立ち向かう。「すごいメンバーですね。結果はともかく、今後へ向けていい経験になれば」と控えめながらも、愛馬の頑張りに期待感を膨らませている。
岩手からはもう1頭、7歳馬
ゴールドマインが参戦する。今年は地元の交流重賞・
マーキュリーC、
クラスターCでいずれも6着に健闘。前走の
青藍賞(重賞)では
ロックハンドスターを破っている。「無理はしてないし、馬は元気いっぱい。状態に関しては文句ない」と70歳の大ベテラン・桜田三師は胸を張った。ただ「すごいメンバーだね。少しでも上位へこられるように頑張るだけ」と控えめに話していた。
提供:デイリースポーツ