「第144回天皇賞・秋・GI」(芝2000m)は30日、東京11Rに18頭で争われ、中団を追走した7番人気のトーセンジョーダンが混戦から抜け出し、2番人気ダークシャドウ(2着)を半馬身抑えてGI初制覇を成し遂げた。半馬身差の3着には6番人気のペルーサが入り、1番人気のブエナビスタは直線で進路が狭くなった影響もあり、4着が精一杯だった。

　鞍上・ピンナの冷静な騎乗が光った。「時計が出る馬場というのも分かっていた。スタミナ勝負になると思っていたから後ろで我慢した」。1000m通過が56秒5の超ハイペース。マークしていたブエナビスタの手応えが怪しいと判断すると、相手を切り替えて対応した。「途中からトゥザグローリーに変えて、その外に出した。直線は無我夢中だった」。前にいるGI馬たちを自慢の末脚で切り裂き、従来の日本レコードを0秒3更新する1分56秒1を記録した。

　「冗談(ジョーダン)かなと思ったよね」。先週の3冠達成に続くGI連勝に、池江師はジョークを交えて驚きの表情を見せた。デビュー2戦目から3連勝し、クラシック候補に名乗りを上げたが、2度の裂蹄で出世の道が阻まれた。ただ、遠回りしたが、無駄ではなかった。「トップクラスの馬だと思っていたけど、それを証明できてうれしい」。期待に応えた愛馬を誇らしげにした。

　盾獲りのあとはJC、そして「楽しみが増えた」と笑う、有馬記念で3冠馬(オルフェーヴル)との対決が待つ。もちろん、ドバイ、凱旋門賞といった海外遠征プランも描いている。「洋芝も走るからロンシャンも合うと思う。可能性を持っていますよね」。2つ目の勲章獲り、そして海の向こうへ。夢は壮大な広がりを見せる。

提供：デイリースポーツ