4月7日に1年4か月ぶりに再開する福島競馬を前に、福島出身の3名の騎手に、地元への思いとファンへのメッセージを聞いた。
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田辺裕信騎手「東日本大震災の時は、小倉に滞在していたこともあり、最初は事態の大きさがわかりませんでした。幸い、福島県の二本松市の実家とは、わりと早くに連絡がとれて、無事が確認できましたが、テレビを観ているうちに、地震以外にも津波や、原発事故が起きて、これは大変なことになったと思いました。
福島競馬場も、スタンドに相当な被害が出ていたので、もしかするともう開催できないのではないかとまで考えたこともあります。ですから、開催が決まった時は、やはり嬉しかったですし、こちらの想像以上に復旧、開催が早かったですね。特に、福島県には競馬ファンがたくさんいますので、その点でも、本当に良かったと思っています。競馬場もしっかり除染対策がされているということなので、県外からもたくさんの方々に来て頂きたいです。そして、安心して福島競馬を楽しんで下さい!」
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江田照男騎手「震災時には、つくばにある自宅にいました。福島県の石川郡にある実家とは、なかなか連絡がつきませんでしたし、情報が入ってこなくて不安でした。実家の家族は無事でしたが、屋根瓦がだいぶ落ちたようです。あとになって、福島競馬場の壊れたスタンドの写真を見て、地震があった時に、福島競馬開催中の土日じゃなくて、本当に良かったと思いました。
震災後の福島競馬は中止になりましたが、やはり復興が第一ですし、それはもう仕方ないことですよね。これまでも、競馬場でチャリティーイ
ベントなどを行ったりしてきましたが、みんなで日本を元気にしたいですし、復興に向けて、僕らも自分ができる範囲で、何かできればと考えています。4月7日から、いよいよ福島競馬が開催されますが、皆さんに楽しんでいただけるように、魅せる競馬、ワクワクする競馬を提供いしたいと思っていますので、是非、福島競馬場に足を運んでください!」
■木幡初広騎手
「実家は南相馬市で、海から1kmくらいの所にありましたから、きっと津波に流されているな…と思いながら、テレビを観ていました。すぐに実家とは連絡が取れなかったですが、確か2日後くらいに連絡がつきました。家は山に囲まれていたので、幸い流されなかったのですが、原発事故の影響のある地域ですし、南相馬に住んでいた親族は、今は仮設住宅で生活しています。震災後は、随分と周囲の人には助けられて、その点では、本当に感謝しています。
毎年、福島競馬場には乗りに行っていましたし、福島は競馬ファンの多い土地柄ですから、被災して競馬が開催できなくなったことは、残念でした。4月7日から、久しぶりに福島競馬が開催されることになりましたが、被災されたファンの方も大勢いらっしゃいますから、いつも来てくださっていたすべての方々が、競馬場に足を運べるわけではないと思うんです。それを考えると、正直、複雑な気持ちにはなります。ただ、多くのファンの方が心待ちにしているとも思いますので、いつも通り変わらぬ気持ちで騎乗して、皆さんの期待に応えられるように頑張ります!」(取材:佐々木祥恵)