名将が、考え抜いた末に“待ちの姿勢”を貫く決断を下した。
桜花賞の
トライアルを史上初めて全勝した関東馬には、まだまだV候補がいる。ここまで4戦3勝で、唯一の敗戦もGI・阪神JFでの3着(1番人気)という
サウンドオブハートだ。1月の
紅梅Sから直行のローテに懐疑的な視線を注ぐファンもいるかもしれないが、松山康師には一点の曇りもない。
「気持ちが少し入りやすいところのある馬。3カ月ほど間隔があいたのは、むしろちょうどいいくらい」と納得の表情を見せる。中間は美浦Pと坂路を主体に、強弱をつけながら十分に調教を積み重ね、実質的な最終追い切りとなった3月31日には坂路で4F49秒3の好時計を記録。「あれくらい動けるのは分かっていたが、それにしてもいい走りだった。体が楽になっているから精神的にも
リラックスしている」と大きくうなずいた。
阪神JFは大外枠が災いして他馬を壁にできずに、力んで走ったことが敗因だった。今季初戦に
紅梅Sを選択したのは、1400m戦で道中の折り合いをつけ、天性のスピードを後半に爆発させたいとの狙いがあった。
馬群をさばいて一瞬で抜け出したその前走は、指揮官の思惑通り。「いいシミュレーションになったな」と桜冠獲りへの期待はより一層膨らんだ。「順調に調教メニューを消化して、あとは実戦での結果だけ。折り合いがつけば」。関西圏への長距離輸送も2度経験し、不安はない。96年
マイルCS(
ジェニュイン)以来、久々の
JRA・GI制覇へ、東の“名門”厩舎の底力を見せつける。
提供:デイリースポーツ