歓喜の輪に包まれた瞬間から、はや一年。淀のマイルで太陽のような輝きを放った
エイシンアポロンが、今ではまるで別馬のようにもがき苦しんでいる。こんなはずはない。昨年の覇者として、当然このままで終われるはずがない。
歯車が狂い始めたのは今年2月。招待を受諾していたドバイデューティフリーの前哨戦として位置付けていた
中山記念を、左背中の筋肉痛で回避。海外遠征を辞退し、立て直しを余儀なくされた。春の2戦はその影響を引きずって、
マイラーズC14着、
安田記念15着。気持ちを切り替えて、秋のリベンジを誓った。
ところが、一度狂った歯車は簡単には元に戻らない。秋初戦の
毎日王冠は出遅れが響いて12着。続く
スワンSも見せ場はつくったものの、直線で失速して14着に大敗…。この結果には、松永昌師も「ジョッキーは“春よりも具合はいい”と言っているんだけどね。それなのになかなか結果が出ない」と首を傾げる。
4戦連続2桁着順という屈辱を味わいながらも、馬体の張りは上々。相変わらず調教の動きも抜群だ。7日の1週前追い切りでは、栗東坂路をパワフルに駆け上がり、4F53秒3-38秒1-12秒2を記録。指揮官は「理想は500キロ台前半。だから、前回(8キロ増の514キロ)の馬体増は誤算だった。今度は絞れていると思う。しまい重点で動きも良かった」と、素軽さを増した姿を見て力強くうなずいた。
絞れてシャープになった今回は、さらにカンフル剤を注入。集中力アップを見込んで、初めてチークピーシーズを装着する。担当の中野厩務員は「前走を見ていても、最後は自分から(走るのを)やめている感じ。気持ちの問題だと思う。刺激になれば」と実戦での効果を期待する。策が功を奏せば、実力的に激変しても驚けない。まずは、チークピーシーズを装着した(水曜の)最終リハの動きに注目だ。
提供:デイリースポーツ