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さらば「アンカツ」…、安藤勝己騎手が現役引退を発表

  • 2013年01月30日(水) 21時05分
 30日、2003年3月から地方競馬所属騎手によるJRA移籍のパイオニアとして、地方所属時代から「アンカツ」の愛称でその剛腕を知らしめ、移籍後は約10年に渡り圧倒的な手綱捌きでGI・22勝を挙げた安藤勝己騎手(52歳、栗東・フリー)が、明日31日をもって騎手免許を返上、現役を引退することになった。

 引退式は、2月3日(日)の京都競馬場・最終レース終了後に行われる予定となっている。

 安藤勝己騎手は、1976年に笠松所属として16歳でデビュー。それから36年と約4か月、JRA所属に変わって約10年。数えきれない敏腕、剛腕、随所に光る頭脳プレーに加え、ゴール前で唸る独特の「風車ムチ」…。中央競馬に新たな価値観を投じた独特の手綱捌きは、ファンならずとも多くの関係者にも衝撃を与え続けた。

 また、同騎手の功績は、自身の技術以上に、のちに続く小牧太騎手(45歳、栗東・フリー)、岩田康誠騎手(38歳、栗東・フリー)、内田博幸騎手(42歳、美浦・フリー)ら、地方所属トップ騎手のJRA移籍へと繋げる「パイオニア」として、歴史的な役割を果たしたことが挙げられる。

 JRA移籍前は、地元笠松競馬所属時代のオグリキャップの主戦騎手を務めたほか、1995年には笠松のライデンリーダーで4歳牝馬特別を制した。その後も、笠松(東海)所属馬とともにJRAに頻繁に参戦。1999年京阪杯(GIII)をロサードで制し、JRA所属馬で重賞初優勝。2003年春にJRA移籍を果たすまでに重賞10勝。

 2003年3月には、「過去5年間に中央競馬で年間20勝以上の成績を2回以上挙げた騎手」という、当時の安藤騎手のために設けられたような新ルール(2010年から一部変更)を無事にクリア。晴れてJRAへの移籍の夢を叶えると、翌週にはオースミハルカチューリップ賞タガノマイバッハ中京記念をいずれも4番人気で制して、連日の重賞ジャック。移籍から1か月も経たない3月30日。ビリーヴとともに挑んだ高松宮記念を見事に制し、JRA所属騎手として悲願のGI制覇を果たしたほか、その後も、同年菊花賞ではザッツザプレンティでクラシック競走初制覇。移籍初年度は、いきなり112勝(3月からの計算)を挙げた。

 2004年には、キングカメハメハNHKマイルC日本ダービーを制して「ダービージョッキー」の称号も手にするなど、2004年はGI4勝、年間127勝。

 以降の活躍は枚挙に暇がなく、特に桜花賞は2006年キストゥヘヴンを皮切りに、2007年ダイワスカーレット、2009年ブエナビスタ、2011年マルセリーナで実に4勝。中でも、桜花賞含めて、通算12戦でGI4勝、重賞6勝を挙げて2着4回と連対率100%で競走生活を終えたダイワスカーレットには、デビュー以来全てのレースに騎乗。同世代の牝馬にして最大のライバルウオッカとの激しいつば迫り合いを演じて、ファンを魅了した。

 年齢が50歳台に差しかかった近年は、減量苦もあって騎乗数を極力減らす方針を取っており、2011年4月の桜花賞マルセリーナを最後にGI勝利からは遠ざかる形。それでも、同年の日本ダービー菊花賞神戸新聞杯などでウインバリアシオンの手綱を任され、3冠馬オルフェーヴルを相手にいずれも2着。敗れはしたが、次々に策を打ち出してライバルホースを相手にファイティングポーズを取り続ける、「アンカツ魂」をアピールした。

 その後も少数精鋭の騎乗スタイルは崩さず、その中で2012年も重賞4勝を挙げた。ただ、昨年11月24日の京阪杯(パドトロワ・15着)を最後に騎乗しておらず、今後の去就がにわかに注目されていた中で、今日午後の正式引退発表となった。

■安藤勝己騎手(52歳、栗東・フリー)
NAR初騎乗:1976年10月20日
NAR初勝利:1976年10月23日
NAR所属時代の通算成績:14056戦3299勝(勝率23.5%、連対率40.5%)

JRA初騎乗:1980年5月11日
JRA初勝利:1980年5月11日
JRA所属時代の通算成績:6593戦1111勝(勝率16.9%、連対率30.3%)

※成績は2013年1月30日現在。
(参考)中央移籍後のNARでの騎乗成績:203戦54勝(勝率26.6%、連対率42.4%)

【主な勝ち鞍】
1995年4歳牝特別(GII) ライデンリーダー
1999年京阪杯(GIII) ロサード
2001年大阪杯(GII) トーホウドリーム
2003年チューリップ賞(GIII) オースミハルカ
2003年高松宮記念(GI) ビリーヴ
2003年菊花賞(GI) ザッツザプレンティ
2004年日本ダービー(GI) キングカメハメハ
2005年天皇賞・春(GI) スズカマンボ
2007年桜花賞(GI) ダイワスカーレット
2008年有馬記念(GI) ダイワスカーレット
2011年桜花賞(GI) マルセリーナ
2012年キーンランドC(GIII) パドトロワ

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