2013年夏の特別企画。担当馬に愛情を持って接している厩務員さんや調教助手さんと愛馬との「絆」をお届けします。普段なかなか知ることのできない、競馬の舞台裏。トレセンで日々取材しているライター陣が、とっておきの温かいエピソードをリレーでご紹介します(8月の毎週金曜公開)。今週は「調教Gメン研究所」や「栗東トレセンニュース」でお馴染みの井内利彰さんです。
2012年高松宮記念、レース前に関係者の中で話題になったのが「担当馬の2頭出し」。その2頭、カレンチャンとロードカナロアを担当したのが、岩本龍治調教助手。当時はカレンチャンが優勝したが、その6か月後、スプリンターズSで再び2頭出しとなり、今度はロードカナロアが優勝。当時の心境をあらためて振り返ってもらった。
―高松宮記念
「ロードカナロアは初めてのGI挑戦。走る馬だということは分かっていましたが、この先、もっと成長するだろうと思っていましたし、ひと夏越すと、カレンチャンを脅かすような、怖い存在になるイメージでしたね。カレンチャンは休み明けのオーシャンS(4着)を叩いて、上昇すると思っていましたし、実際に凄く良い状態でした。それまでの実績からも、カレンチャンが一歩リードかなと思っていました。レースでもカレンチャンに目が行っていましたし、ゴール前では『カレンチャン、粘れ』って応援していました」
―スプリンターズS
「ロードカナロアは自分が思っている以上に、ひと夏越して成長しましたね。毎日の成長度が凄いなって感じていましたし、ひょっとしたら、カレンチャンを逆転するかなと思っていました。カレンチャンもセントウルS(4着)を叩いて、本当にいい状態でしたし、ケンイチ(池添謙一騎手)も完璧なレースをしてくれたと思います」
残り200m地点で先頭に立つカレンチャン、それを外から追うロードカナロア。この時、どちらを応援したのだろうか?
「カレンチャンが先頭に立って...