十分な実績に、完璧な仕上げ。GI初Vを阻むものは何もない。いつも通り栗東坂路の閉門直前に登場した
ハクサンムーン。力強いフットワークでラップを刻むと、4F54秒0-39秒0-12秒3を記録した。「しっかりと上がってきた」。動きを確認したあと、大きくうなずいた西園師は「一片の悔いもない。順調」と力を込めた。
感触を確かめた田中助手も胸を張る。「これまで目いっぱいに仕上げたのは昨年の
スプリンターズS(2着)。今回はそれ以上。前走よりも体が引き締まっているし、春とも全然違う。過去最高です」。ずっと調教に騎乗してきた仕上げ人は、大一番を前に自信の表情をのぞかせた。
5か月半ぶりとなった前哨戦の
セントウルSは2着。順調に使われていた夏の上がり馬
リトルゲルダにはかわされたが、2番手からの競馬でもしぶとさを見せた。「本番を考えてハナにはこだわらない競馬を試したが、先行激化のなかで2着を確保。久々だったし自信を深めました」と指揮官は振り返る。さらに収穫だったのは、馬場入場後の旋回癖だ。いつもは4、5周回るところを、1周だけで馬が納得して周囲を驚かせた。「以前なら追い切ったあと、うるさい面を見せていたが、今は落ち着きがある」と成長力を強調する。
前走がテン乗りだった戸崎圭も手応えをつかんだ様子だ。「次に良くなる雰囲気があった。ゲートも1歩目が遅かったけど、休み明けの分もあったと思う。二の脚は天下一品ですね。何とかいい結果を」と期待を寄せる。
スプリンターズSのあとは香港遠征も視野に入れている。「2着だと行っても仕方がない。結果次第で、そうなればいい」。狙うのは1着だけ。世界最強ス
プリンター・
ロードカナロアと接戦を演じてから1年-。天性のスピードに成長力と最高の出来を加え、いよいよ頂点に立つ。
提供:デイリースポーツ