日本を愛し、ファンにも愛される陽気なイ
タリアンが念願の
JRA騎手免許を取得した。滞在先の香港で調教騎乗後、朗報を受けた
M.デムーロ。「すごくすごくうれしくて、泣きそうなくらい興奮しています」と喜びを爆発させた。
99年に日本で初騎乗し、その後は何度も短期免許で来日。
JRAが14年度の騎手免許試験要項に外国人騎手の受験について明文化した際、即座に反応した。「日本で15年騎乗させていただき、第2の故郷と思うくらいになった。日本の騎手になることが夢だった」。昨年は1次試験で不合格となったが、2度目の受験で夢をかなえた。
近年は母国イ
タリアの競馬が経済的に不安定な状況。ただ、それだけが世界トップジョッキーを突き動かしたわけではない。世界最高賞金で知られる11年の
ドバイワールドカップでは、
ヴィクトワールピサで日本馬初Vを達成。東日本大震災発生から15日後に行われた一戦に「日本は明るさを取り戻せるのだろうか?勝っていい話題を届けたい」と決意を持って臨んだ。勝利後は「日本人のために朝から祈っていました。“アイ・ラブ・ジャパン”、この勝利を日本の人たちにささげたい」と右腕の喪章を握りしめながら涙した。
その後も被災地の福島県相馬地方を訪れ、厳しい状況のなかで伝統の馬事文化「相馬野馬追」を守る人々との交流も行った。また天覧競馬として行われた12年
天皇賞・秋を
エイシンフラッシュで制覇。ウイニングラン後に
メーンスタンド前で下馬し、天皇・皇后両陛下に最敬礼をするなど、日本人よりも日本人の心を持った、情に熱いイ
タリアンだ。
「日本競馬のために、そして自身の成功のために、3月からの騎乗でベストを尽くしたい」とあらためて決意表明。輝かしい実績に加え、大和魂を持つイ
タリア出身のサムライが日本の競馬界をより一層盛り上げていく。
提供:デイリースポーツ