今後の躍進を予感させる勝利。「第32回
エプソムC・GIII」(芝1800m)は14日、東京11Rに13頭で争われ、2番人気の
エイシンヒカリ(栗東・坂口)が、1分45秒4のタイムで逃げ切って重賞初制覇を飾った。戦前の予想通り、スタートを決めてすんなり先手を奪取。道中は軽快なラップを刻み、後続を引きつけての逃げ。直線でもしぶとく脚を伸ばし、ラスト1Fで最内に進路を取った1番人気の
サトノアラジン(2着)が迫ってきたが、最後まで先頭は譲らず、追撃を首差封じてゴールイン。なお、連覇を狙った4番人気の
ディサイファは首差の3着に終わった。
「期待を裏切って、優等生ですみません。きょうはレース前から落ち着いていて、暴走しそうな気配はなかったね」と
武豊はジョークを交えて振り返る。昨秋の
アイルランドTでは外ラチまで逸走しながらも、そのまま逃げ切る破天荒なレースを演じた。今回も直線で2度ほど外へ膨れかかったが、そのたびに鞍上が右トモにステッキを入れて微修正した。よほど好感触を得たのか、“希代の逃げ馬”
サイレンススズカとの比較を聞かれて「押さえる競馬もできるな、この馬。あっちは押さえるの無理だったから」と先を見据えたコメントまで飛び出した。
坂口師の評価はまだまだ辛口。「成長? 変わってないですけどね。もう少し実が入ってくれたら」と半信半疑の口ぶりだ。
武豊が言及した脚質転換についても「思い切って逃げてくれってジョッキーに言ったの。もうちょっと行くのかなと思ったけど。行くしかないと思う」とあまり気乗りしない表情だ。
相変わらず粗削りな走りだが、それでもこれで8戦7勝。重賞を制して賞金も一気に加算した。「夏場はあまり強くない馬なので」とあわてず秋競馬に照準を合わせる。
武豊は「一度しか負けていない馬、まだ強くなりそう。秋は大きいレースへ行きたい」と力強く締めくくった。
提供:デイリースポーツ