◆未だクラシック勝利のないフジキセキ産駒
共同通信杯をイスラボニータが快勝し、クラシック候補に躍り出た。未対決の関西有力馬との比較が難しいが、現時点での完成度、レースセンスは抜けている。
ピークを過ぎたフジキセキ晩年の産駒で、良血の繁殖牝馬を擁する社台グループとしては、ごく普通の母系。おまけに、デビューは2歳6月と早かった。
近年、日本ダービーに直結する東京スポーツ杯2歳Sを勝つには勝ったが、そんな血統背景と早いデビューの経歴がある。個人的には、イスラボニータを早熟のGIII級とみなしていた。判断が甘かったことを反省しなければならない。
フジキセキ産駒は取捨選択が難しい。昔からクラシックに向けてのステップレース、トライアルレースに強かったが、それがなかなか本番に結びつかない。昨年もメイケイペガスターが共同通信杯を勝ったが、皐月賞9着、日本ダービー11着に終わった。またタマモベストプレイはきさらぎ賞を勝ったが、皐月賞5着、日本ダービー8着、菊花賞8着に終わった。
しかも、昨年のクラシックまで15世代を送り出して、栄冠に輝いた馬は1頭もいないのだ。ところが、2着、3着馬は6頭いる。
牡馬は生年順にダイタクリーヴァ(皐月賞2着)、ドリームパスポート(皐月賞2着、日本ダービー3着、菊花賞2着)、サダムパテック(皐月賞2着)、同じく牝馬も生年順にブルーリッジリバー(桜花賞2着)、コイウタ(桜花賞3着)、エフティマイア(桜花賞2着、オークス2着)が、それだ。
フジキセキ産駒はそこが頭を痛める。イスラボニータの母の父コジーンは、1996年の北米リーディングサイヤーに輝いた名種牡馬で、現役時代はアメリカ芝牡馬チャンピオンとなっている。この母の父の存在は無視できない。
かと言って、これまでフジキセキを贔屓にし、そのぶん何度も裏切られた苦い経験がある。だから、イスラボニータが強いことはわかっていても、いま一つ信用できない自分がいる。ああ、今年の牡馬クラシックは悩ましい。