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イスラボニータはクラシックを勝てるか

  • 2014年02月28日(金) 12時00分


◆未だクラシック勝利のないフジキセキ産駒

 共同通信杯をイスラボニータが快勝し、クラシック候補に躍り出た。未対決の関西有力馬との比較が難しいが、現時点での完成度、レースセンスは抜けている。

 ピークを過ぎたフジキセキ晩年の産駒で、良血の繁殖牝馬を擁する社台グループとしては、ごく普通の母系。おまけに、デビューは2歳6月と早かった。

 近年、日本ダービーに直結する東京スポーツ杯2歳Sを勝つには勝ったが、そんな血統背景と早いデビューの経歴がある。個人的には、イスラボニータを早熟のGIII級とみなしていた。判断が甘かったことを反省しなければならない。

 フジキセキ産駒は取捨選択が難しい。昔からクラシックに向けてのステップレース、トライアルレースに強かったが、それがなかなか本番に結びつかない。昨年もメイケイペガスターが共同通信杯を勝ったが、皐月賞9着、日本ダービー11着に終わった。またタマモベストプレイはきさらぎ賞を勝ったが、皐月賞5着、日本ダービー8着、菊花賞8着に終わった。

 しかも、昨年のクラシックまで15世代を送り出して、栄冠に輝いた馬は1頭もいないのだ。ところが、2着、3着馬は6頭いる。

 牡馬は生年順にダイタクリーヴァ(皐月賞2着)、ドリームパスポート(皐月賞2着、日本ダービー3着、菊花賞2着)、サダムパテック(皐月賞2着)、同じく牝馬も生年順にブルーリッジリバー(桜花賞2着)、コイウタ(桜花賞3着)、エフティマイア(桜花賞2着、オークス2着)が、それだ。

 フジキセキ産駒はそこが頭を痛める。イスラボニータの母の父コジーンは、1996年の北米リーディングサイヤーに輝いた名種牡馬で、現役時代はアメリカ芝牡馬チャンピオンとなっている。この母の父の存在は無視できない。

 かと言って、これまでフジキセキを贔屓にし、そのぶん何度も裏切られた苦い経験がある。だから、イスラボニータが強いことはわかっていても、いま一つ信用できない自分がいる。ああ、今年の牡馬クラシックは悩ましい。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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