◆日高の意地は見られるか
トライアル戦線も大詰めを迎え、浮上する生産牧場も例年どおりとなってきた。
先週のチューリップ賞。優勝馬と3着馬はノーザンファームで、2着馬は社台ファーム。弥生賞も優勝馬はノーザンファーム、2着馬はノースヒルズ、3着馬は社台コーポレーション白老ファームの生産である。近年、この流れが恒常化している。
大相撲に例えれば、東西の横綱にノーザンファームと社台ファームが鎮座し、大関もこれ以外の社台グループの牧場が名を連ねる。関脇、小結クラスにかろうじてノースヒルズ、下河辺牧場、千代田牧場、ダーレーあたりがいて、残りの多くは軒並み十両以下。そんな勢力分布図になる。
毎年、2歳戦から明けて3歳の2月ごろまでは、日高の牧場も頑張っている。マイナー種牡馬も台頭の余地はある。しかし、クラシックに向けて、重要なトライアルレースが始まると状況が一変する。
日高にもランキング上位の種牡馬を付けている牧場はたくさんある。だが、日高のディープインパクト産駒はなかなか浮上してこない。この格差を生むのは何だろう。繁殖牝馬の質の違い。血統の違い。物量の違い。施設の違い。人脈の違い。人間の英知の違い…。深い溝はそう簡単に埋まりそうにない。
今週のフィリーズレビュー。1番人気が予想されるホウライアキコは、小倉2歳S、デイリー杯2歳Sを2連勝した。だが、日高の牧場の生産馬で、例年の流れだとそろそろ消えていくパターンになる。
対するヤマノフェアリーは、まだ条件戦を勝ったばかり。飼食いが細いなど、体質にも問題がある。しかし生産牧場はノーザンファームで、父はディープインパクト。全姉に去年の活躍馬デニムアンドルビーがいて、近親には先週の弥生賞を勝ったトゥザワールドがいる。父も母系もクラシックの常連血統となれば、軽視はできない。
果たして今週のフィリーズレビューも、先週と同じ結果になるのか。それとも劣勢の日高が意地を見せるのか。賞金的に出走が確定しているディープインパクト産駒は、ヤマノフェアリーのみ。抽選の結果しだいでは、波乱の要素を含んでいる。