▲角田晃一調教師、ベルカントの重賞連勝につながったこの夏のチャレンジとは
重賞2連勝でサマースプリントシリーズのチャンピオンに輝いたベルカント。2歳時から重賞戦線で活躍し、一時勝てない時期もあったが、ここにきて更にパワーアップしている。この夏、彼女の身に一体なにが起きたのか。陣営を直撃した。(取材・文・写真:大恵陽子)
怪我の功名で掴んだチャンピオン
アイビスSDと北九州記念を2連勝し、サマースプリントシリーズのチャンピオンに輝いたベルカント。順調な夏を過ごせたように思うが、管理する角田晃一調教師はこう振り返る。
「この夏は、賞金が少なかったのでローテーションが難しかったんです」 古馬になった今年の2戦をともに2桁着順で終え、放牧に出たベルカントは、6月21日の函館SSを目標に、5月下旬に栗東に帰ってきた。
「出られたら、という条件で予定していたんですが、賞金的に出られなさそうだったので、早い段階でCBC賞に切り替えました」 予定を2週間後にずらし、CBC賞では出走枠に入った。しかし、レース直前の金曜日、同厩舎の馬に蹴られてしまう。右肩部挫創。無念の出走取消となった。
「こちら側のミスで申し訳なかったです。幸い大事には至らず、1〜2日休ませただけで、すぐに乗り始めることができました」 再び予定はスライドする。しかし、ケガの程度が軽かったため、CBC賞から2週間後のバーデンバーデンCに出走できる状態に整った。
「アイビスSDも出走できそうだったので、重賞の方がいいと思いそちらを選択しました。14番目くらいで、ギリギリでした」 その選択の正しさを結果が証明した。1000m戦で、2馬身差の完勝。久々のレースで、見事1番人気に応えた。
「オーナーに心配と迷惑をかけましたが、レース後に『怪我の功名だったな』と言っていただき、ありがたかったです。ここでしっかり攻められたことが逆に良かったのかな、と思います。僕らの考えている枠を飛び越えてどんどん良くなっていきました」▲アイビスSDで、昨年の春以来の久々の勝利(撮影:下野雄規)
▲アイビスSDに続き北九州記念も勝利。重賞2連勝という充実ぶりを見せつけた
サマースプリントシリーズのチャンピオンに輝いたことで再認識されたが、振り返るとデビュー当初からベルカントの豊かなスピードは注目を集めていた。