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【JDDの舞台裏】7年ぶり地方馬Vにジョッキーたちも思わず「よっしゃー!」

  • 2017年07月31日(月) 18時01分
ギャロップ翼

▲ヒガシウィルウィンのJDD制覇に笹川騎手も大興奮!(撮影:高橋正和)


今回は大井競馬場が沸きに沸いたJDD(12日・JpnI)の回顧をお届け!2010年マグニフィカ以来、7年ぶりとなる地方所属馬の優勝に歓喜したバックステージの様子を明かします。また笹川騎手自身は17日に誕生日を迎え、「充実していた」というこの1年間の振り返り、そして23歳の抱負と家族への感謝を語ります。(取材・文:赤見千尋)

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。笹川翼騎手へ「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。【⇒質問フォームへ】

白熱の追い比べに「もし自分だったら…」


――まずはJDDを振り返っていただきたいんですが、レース前はどんな印象でしたか?

笹川 中央馬は強いですけど、抜けた存在がいなかったですし、地方馬も見劣りしないメンバーだと思っていました。例年以上に、チャンスはあるんじゃないかなと。

――東京ダービー馬のヒガシウィルウィンが、見事クビ差で差し切りました。

笹川 いいレースでしたね。見ていて感動しました。騎手席でみんなで見ていたんですけど、みんなすごく応援していました。地方競馬一体という感じで、勝った時にはみんなで「よっしゃー!」って言い合って。すごく盛り上がりましたね。

――直線の攻防は見ごたえがありましたね。

笹川 しかも、一瞬ダメかと思ったんです。2着だったサンライズソア&川田騎手が内から伸びてきて、勝ったかなという感じでしたから。でも、ヒガシウィルウィンが渋太く伸びて追い抜いた時にはすごく感動しました。

ギャロップ翼

▲JRA所属馬サンライズソアとの追い比べを制し、ヒガシウィルウィンがダート馬の世代頂点に(撮影:高橋正和)


――馬もすごいですし、乗り替わりで結果を出した本田正重騎手もすごいですね。

笹川 すごいですよね。尊敬します。周りには見せないですけど、さすがに緊張したと思いますよ。あんな大舞台で力のある馬に乗って。GIに手が届くチャンスは少ないですから、そこで結果を出すなんて本当にすごいです。

――本田騎手とは普段交流はあるんですか?

笹川 あります。よく一緒に遊びに行ったりしますし、仲良くさせていただいてます。すごく優しくて面白い人ですよ。

――騎手としてはどんなところがすごいと思いますか?

笹川 僕が言うのも何ですけど、いつも落ち着いているんですよね。どんな場面になっても冷静さを失わないんです。JDDにしても、GIのゴール前で、大接戦になった中でも追う姿勢がブレてないですもんね。正重さんらしいレースだったなと思います。

ギャロップ翼

▲本田正重騎手の騎乗に「どんな場面でも冷静さを失わない正重さんらしいレースだったなと思います」(撮影:高橋正和)


笹川 もし自分だったら…と思うと、気持ちばっかり先走ってしまうような気がします。すごいなっていう気持ちと、羨ましいなっていう気持ちがありますけど、でも、そこで終わっちゃいけないなと思うんです。すごくいい刺激を受けましたし、自分もいつかはGIを勝ちたいです。そのためには日々の努力が大切なので、目の前の1鞍1鞍を丁寧に乗っていきます。

――森泰斗騎手の気持ちを考えるとちょっと複雑ですけど。

笹川 そうですね。でも、ケガで乗れなかったというのはもう仕方ないと思います。この仕事をしている以上、そこは切り替えるしかないかなと。レースの前日に泰斗さんが応援のツイートをしていたみたいですけど、ヒガシウィルウィンの強さを一番知っているのは泰斗さんですから。

――本田騎手のように、パッと乗り替わることもあると思うんですけど、そういう時はどんなことを大事にしていますか?

笹川 馬の癖は関係者や以前乗っていた騎手に聞きますし、レースVTRも見るのでだいたいは頭の中にイメージができています。ただ、決めつけというか、先入観はあんまり持たないようにしてますね。実際に乗ってみた雰囲気を一番大切にしてます。生き物ですからその時その時で変わって来ますし、イメージと照らし合わせつつ返し馬で乗ってみて、その時に馬がどんな雰囲気なのかを感じるようにしています。そういう経験もたくさんさせていただいてますし、どんな馬にも対応できるようじゃないと、騎手とは言えないですから。乗り替わりでも、しっかりと結果を出せるようにがんばります。

――7月17日は23歳のお誕生日だったんですね。おめでとうございます!

笹川 ありがとうございます。当日は競馬だったんですけど、新潟から両親が見に来てくれて、奥さんも見に来てくれて。目の前で勝つことができたので嬉しかったです。前日にみんなでご飯を食べたりもできたので、いい気分転換になりました。

――22歳はどんな一年でしたか?

笹川 なんか早いですね。あっという間に終わってしまいました。有り難いことにたくさん乗せていただいて、たくさん勝たせていただいて、すごく充実した一年でした。激戦区の南関東で、まさかこんなに早い段階でたくさんチャンスをいただける立場になれるとは思っていなかったので、周りの方々にすごく感謝しています。

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▲クラシック初制覇など結果が伴う活躍ぶりに「すごく充実した一年でした」(撮影:武田明彦)


笹川 あと、結婚して1年目だったんですけど、奥さんには本当にお世話になっているので。有り難いですね。

――毎日競馬で笹川騎手も大変だと思いますが、奥様も大変ですよね。

笹川 いや〜、本当に大変だと思いますよ。平日毎日競馬で、朝は調教で午後からナイターでしょ。土日も調教がありますし、1日休みの日っていうのがほとんどないですから。全然どこにも連れて行ってあげられなくて、申し訳ないです。それでも尽くしてくれるので、本当に感謝しています。

――23歳はどんな年にしたいですか?

笹川 もっと競馬の精度を上げていきたいです。まだまだ若いですし、失敗を怖がらずにいろいろなことにチャレンジしたいですね。これからもそういう経験を重ねていきたいです。

※次回の掲載は8月14日(月)予定です

1994年7月17日生、新潟県出身。2013年4月7日に米田英世厩舎(大井)からデビューすると初年度から43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を獲得。重賞勝利に勝島王冠(15年)、船橋記念(16年)、ハイセイコー記念(16年)。

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