いよいよダート競馬の上半期の総決算・帝王賞が近づいてきました。中央勢はいつものように非常に強いメンバーがやって来ますが、南関東勢も力の入る面々が出走します。
地方競馬の総大将として臨むのは、今年負けなしのJpnI2勝馬カジノフォンテン(船橋・山下貴之厩舎)。
上山と南関東で走った女傑ジーナフォンテンの息子としても知られ、クラシック時は体質の弱さなどがありましたが、3歳夏の放牧休養後から一変。母の主戦の1人でもあった張田京騎手(現調教師)の息子・張田昂騎手と新コンビを組み、快進撃が始まりました。
ちょうど食事をモリモリしていたカジノフォンテン。JpnI3勝目に期待がかかります(撮影:高橋華代子)
古馬の重賞初挑戦だった川崎マイラーズはハイペースに巻き込まれ(5着)、マイルグランプリ(7着)は大井の内回りコースが合わなかったことが敗因で、それ以外はほぼパーフェクトな成績。
大井競馬場のチャンピオンディスタンスでもある2000mを舞台にした昨年末の東京大賞典は、初のダートグレード競走への挑戦ながらも、2番手から先頭に立って押し切るかと思ったところに、オメガパフュームにクビ差交わされ2着に涙を呑みました。あれ以降は負けなしで、一戦ごとにパワーアップしているかのような走り。
川崎記念、かしわ記念はともに、地方競馬の総大将だったフリオーソが制してから10年振りとなる地方勢の勝利を挙げ、この帝王賞もそのフリオーソ以来となる11年振りの優勝に期待がかけられています。
「心身ともに成長しているので、最後に苦しくなってもあきらめない根性がついてきたように思います。普段は立ち上がったりうるさい馬ですが、今は装鞍所に来ると大人しくなって、自分の仕事がわかってきたかのようです。
かしわ記念の後も順調で、暑さにも我慢してくれています。最終追い切りを見ていると、動きの切れはかしわ記念の時よりももう少しかなぁという印象は受けましたが、カジノ自身の力は出せる状態には仕上がったと思います。いい枠を引くことができたし、ハナに行くつもりで主導権を握って正攻法の競馬をさせたいです。
チャンピオンを決めるにふさわしいレースで、真のチャンピオンになれるように頑張りたいですね」(山下調教師)。
一方、カジノフォンテンと同世代で2歳時からトップに君臨してきたのがミューチャリー(船橋・矢野義幸厩舎)です。デビュー時から御神本訓史騎手が手綱を取り続け、2歳時は鎌倉記念を優勝し、3歳では南関東1冠目の羽田盃、4歳ではマイルグランプリ、今年5歳になって大井記念と、4年連続で通算4つ目のタイトルを獲得。
集中力を高めているかのように馬房に佇んでいるミューチャリー。悲願のJpnI勝ちを目指します(撮影:高橋華代子)
常にダートグレード競走へ挑戦し続けてきたのは、陣営のこの馬に対しての期待の大きさから。前走の大井記念は久しぶりに南関東同士の戦いで圧勝し、ハイレベルな舞台で戦い続けてきた馬の強さを存分に見せつける結果になりました。昨年末の東京大賞典は、優勝したオメガパフュームから0.2秒差の5着と、もう一歩でした。
「前走は初めて間隔がない中で使いましたがへこたれることもなく、この中間も帝王賞に向けて順調で、さらに上向いているように思います。体質も強くなっているのでしょうね。末脚のいい馬ですが、大井記念のように自分で動いていってもいいし、その辺りは御神本に任せます。4コーナーでは先頭から5馬身以内の射程圏内に入れたいですね」(矢野調教師)。
南関東勢それぞれが自分の力を発揮して、最高のパフォーマンスを期待しています!そして、何より出走全人馬無事に!
*なお、大井競馬場もこの開催からお客様の入場は再開しますが、事前申し込みで人数制限付きのため、直接のご入場はできませんのでご注意ください。