9月29日に船橋競馬場で行われた日本テレビ盃で、矢野貴之騎手騎乗の2番人気サルサディオーネ(大井・堀千亜樹厩舎<小林>)が逃げ切り勝ちを収めました。地方馬の勝利は2010年にフリオーソが制して以来11年振りで、牝馬が制したのはこのレースがダートグレード競走になってからは23年目にして初の快挙。
▲日本テレビ盃優勝。地方馬の勝利は11年ぶりで、牝馬が制したのはこのレースがダートグレード競走になってから23年目にして初の快挙(撮影:高橋華代子)
サルサディオーネは中央競馬卒業生。南関東の一員になって1年10か月ほどですが、この期間だけでもダートグレード競走4勝を含む通算6つのタイトルホルダーとなって大活躍中です。昨年はNARグランプリ4歳以上最優秀牝馬を受賞。
牝馬ながらも530キロ前後もある大型馬。元々スピード能力には長けていた馬ですが、関係者たちが口にするのはテンのスピードが増してきているということ。自分の形に持ち込んで、より渋太さを発揮。
▲大規模改修工事中の船橋競馬場。パドックに白い柵が設置されているので、馬たちが影絵のように見えるポジションもあります(撮影:高橋華代子)
今年7歳、もうすぐ8歳になろうとしていますが、さらに進化しているかのような走りが続いています。一般的に牝馬は体調管理が難しいと言われている中、一年を通してコンスタントに、さらには高いレベルで走り続けているサルサディオーネ。本当にすごい女の子です。
サルサディオーネの馬主は菅原広隆様、生産は青森県の荒谷牧場様。菅原オーナーは母のサルサクイーンも現役時代に所有されていました。
サルサクイーンは2002年の東京プリンセス賞を制した南関東クラシックホース。ダートグレード競走に挑戦も勝つことはできませんでしたが、孝行娘が叶えてくれています。そんなサルサクイーンは志半ばに一昨年死去し、サルサディオーネは忘れ形見です。
▲牝馬のサルサディオーネが快挙を達成した日本テレビ盃、矢野騎手と並んでいるのが菅原オーナー。(口取り撮影時のみマスクを外しています、撮影:高橋華代子)
以前の表彰式で菅原オーナーにお話を伺った際、「母のサルサクイーンで初めて南関東の重賞を勝たせて頂きました。クイーンは長い月日の中で子供のできにくいタイプでしたが、子供たちがやっと生まれてきてくれて、娘のディオーネがこういうダートグレード競走も勝たせて頂いています。大切な宝物です」と、目を細めていらっしゃいました。
次の目標は、11月3日のJBCレディスクラシック(金沢)でのJpnI獲り。ここまでの成績を見ると勝ち鞍は全て左回りで、金沢競馬場は右回りというのが大きな鍵を握りますが、今の充実振りで課題を克服して欲しいと思います。