毎週欠かさず馬場に関する情報を収集し、自身の予想に反映させるというスポーツニッポンの“万哲”こと小田哲也記者が、“予想に役立つ馬場情報”をコンセプトに、重賞が開催されるコースについて、当週の降水量・前日のレース結果等を踏まえた主観的意見から、よりライブな馬場状態を解説する。
2回中山開催の芝は例年通り、内柵を使わない一番広いAコースで開幕した。東京競馬場のスタンド改築工事で1月から4月皐月賞ウイークまで全て中山のロングラン開催だった2003年を除けば、2004年以降は1月の1回中山がCコース(内6メートルに内柵を設置)、2回中山がAコースの芝の運用法は変わっていない。
1回開催は段々と「中〜外差し傾向」になっていくのが例年のパターン。2回開催の序盤は、1回開催では内柵で保護されていた内寄りの芝状態が再び良好になることで「内&前優位」になるのが傾向になっている。では、土曜はどうだったか? 個人的な感覚では、例年ほど内&前優位になっていない印象。土曜は、芝競走は5鞍。勝ち馬の最終4コーナーの位置は「5番手、2番手、4番手、6番手、3番手」だった。開幕週の中山だけに後ろにいては展開の助けがない限りは浮上が厳しいが、差しも届いていた。
日曜の中山記念と同じ中山内回り1800mで行われた10R・富里特別を参考に取り上げたい。逃げた4番人気アオイゴールドは前半4F49秒1(レース後半4F46秒8)の超スローペース。これだけスローに落とせれば、例年の春の中山開幕週だと必勝パターンなのだが、最後に3番人気レインカルナティオの末脚にクビ差で先着を許して2着だった。
注目したいのは、勝ったレインカルナティオのコース取り。向正面は中団の内ラチ沿い。4コーナーでも外に出さず、馬群を縫って、4コーナーを回った直後は4番手付近に進出していた。道中は経済コースを通る利を生かした菅原明良騎手の好プレー。春の中山開幕週らしく、差すにしても漫然と中〜外を通る形ではなかなか厳しい。
11R・幕張Sは前3頭の先行馬決着。逃げたオパールシャルム(2着)が前半4F47秒3(レース後半4F46秒8)のスローに近いMペース。2番手追走ハーモニーマゼラン(3着)、3番手に勝ったインテンスライト(1着)と続き、勝負所の3コーナーでは意外にも4番手以下は離されてしまった。
基本的には前&内有利の落ち着いたペースでこの展開になると、4番手以下の馬が巻き返すのは難しい。インテンスライトの勝ち時計1分34秒1は道中のペースを考えると、3勝クラスとしては標準といえそう。
土曜朝の芝の含水率は「ゴール前12.1%、4コーナー13.1%」(JRA公式ホームページより)と良馬場発表としては水分を含んでいた。日曜の予想最高気温はこの時季としては高めの16度。中山記念の時間帯は同じ良発表でも一段乾き、土曜より時計が出やすくなるかもしれない。
中山記念は先行勢が楽に行ければ粘り込める舞台設定にはなっているが、今年はパンサラッサの他にも行きたい馬は何頭かいる。さすがに後方からでは厳しいが、器用に立ち回れる馬なら中団付近までは優勝圏内かもしれない。