▲後輩騎手2名からの質問・相談に回答(撮影:高橋正和)
JRAが誇る最年長ジョッキーで、日本騎手クラブの“相談役”を務める柴田善臣騎手。ファンからも競馬関係者からも信頼の厚い善臣騎手が“相談役”として、皆様のお悩みや質問に、自らの体験談を織り交ぜながら答えていくリレーコラムです。
今回は、小崎綾也騎手と武藤雅騎手への回答編。若手のおふたりからの相談・質問に、39年間の現役生活で培った経験から、相談役ならではのアドバイスを送ります。
ジョッキーという職業に限らず、様々な場面でブレイクスルーのきっかけとなる相談役からのお言葉。ファンの皆様もぜひ受け取ってください。
(取材・構成=netkeiba編集部)
「どこかでご褒美や息抜きも必要でしょ?」
──小崎騎手は相談役と接点がないと話していましたが、本当ですか?
相談役 うん。確かに全くないね(笑)。
──小崎騎手について印象は?
相談役 何年か前に海外に乗りに行ったニュースを目にした覚えがある。ヤル気がある子なんだな、応援したいな、って思ったよね。
▲2017年にオーストラリア、2022年にアイルランドで武者修行を行った小崎騎手(C)netkeiba.com
──そんな小崎騎手からの質問は「現役を長く続けるために、若い頃からやっておいた方がいいことは?」です。
相談役 なるほど…。それは“自分の体を知ること”かな。
──と、言いますと?
相談役 俺も若い時にケガをして長く休んだことがあったんだけど、復帰へ向けてトレーニングをする際に色んなトレーナーに教わったり、ジムに通ったりしたんだ。でも結局、しばらくすると体を壊しちゃうんだよ。それも1回や2回じゃない。毎回なんだよ。
──どういうことですか?
相談役 皆さん体作りの専門家なんだろうけど、ジョッキーの体については分かっていなかった。あくまで昔の話だけどね。だからそれからは自分の体は自分で考えて作るようにしたんだ。
──となると相談役は今もひとりでトレーニングしてるんですか?
相談役 うん、そうだよ。自宅で腕立てや腹筋、ストレッチをしたり。今は膝とか股関節、首も悪いから走るのはしんどいんで、有酸素運動だけはジムで自転車を漕いでるけど。
──ええ…。自重(じじゅう)で鍛えてるんですか?
相談役 そう。もちろん適当にやってるわけじゃないよ。ストレッチの角度や、腹筋への負荷のかけ方とか、自分なりに考えてやるわけ。
──自分が自分のトレーナーになるんですね。
相談役 うん。そうすると同じことだけじゃなくて、臨機応変にメニューを変えることもできる。体の状態は日々、変化するわけだから、それに応じてトレーニング内容も変わらなければおかしいでしょ? だから色んな方法を模索し続けているし、今だに新しい発見もあるよね。
──でも最近はジョッキーの体に詳しいトレーナーもたくさんいらっしゃいますよね。
相談役 もちろん。でもトレーナーとの相性は人それぞれだろうから、まずは自分にあったやり方を見つけて、その知識を自分のものにすることが大切だと思うよ。それを早く身につけられれば、長く現役を続けることができるんじゃないかな。
──メンタル的な部分はどうでしょう?