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美浦トレセンの坂路閉鎖がもたらす来年のクラシックへの影響と「二重性」が見えてきた東西格差の実態

  • 2023年07月31日(月) 18時01分
教えてノモケン

▲美浦トレセン改修工事で坂路が閉鎖(C)netkeiba.com


 美浦トレセンの坂路延伸工事が大詰めを迎えている。日本ダービー終了後の5月29日から10月2日までの4カ月以上、坂路は完全閉鎖となり、延伸部分を現在のコースに連結する段階に入った。これを受けて、美浦所属馬は閉鎖期間中、北海道や小倉に滞在する場合を除き、主にウッドチップコースで調教をこなしている。美浦の坂路は1993年に新設。11年後の04年の延伸工事で全長1200m、計測区間 800m、高低差18mという現在の仕様となったが、当時も完全オープンまで約4カ月を要したものの、2カ月で仮オープンにこぎ着けており、今回の長い閉鎖期間は、様々な影響を与えている。半面、今回の坂路延伸は開場から45年以上が過ぎた美浦の全面リニューアル事業の一環であり、完結にはさらに数年を要する見通しだ。本稿では坂路閉鎖の影響や、完工後の展望などについて整理する。

宝塚記念で栗東滞在組が1、2着


 坂路閉鎖後の大きなトピックとしては、宝塚記念の結果が挙げられよう。3月にドバイシーマクラシック(G1)を圧勝し、現時点で競走馬の世界ランク1位を走るイクイノックス(牡4、木村哲也厩舎)の帰国初戦として注目されたが、同馬は同厩舎の皐月賞馬ジオグリフ(同)とともに、6月初頭から栗東に滞在。当日輸送で臨んで国内外GI4連勝を飾った。首差の2着にも栗東滞在で臨んだ美浦所属のスルーセブンシーズ(牝5、尾関知人厩舎)が入り、2年連続で美浦の1、2着独占となった。ジオグリフは一時、帝王賞(大井)参戦のプランもあったが、宝塚記念に回ったのは、陣営が栗東からの輸送距離を考慮したと考えられる。前週18日のマーメイドS(GIII)でも、サンカルパ(牝4、田中博康厩舎)が栗東滞在で参戦。同馬に帯同して栗東に入っていたグシチャンノソラ(牡3)は、17日に東京の未勝利戦に出走するという異例のパターンも見られた。もっともこれは例外的な案件で、物理的に近い阪神の未勝利戦出走が、自ブロック優先ルールの適用で難しかったことも影響していた模様だ。

2歳馬の調教に影響も


 7月29日に新潟が開幕し、西の主場開催がない酷暑期態勢が8月6日まで続くが、今回の新潟で

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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