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【安田記念・鳴尾記念予想】GI連続開催最終週は雨予報 有力各馬の調教内容をジャッジ

  • 2024年05月29日(水) 18時00分

ソウルラッシュは素晴らしい切れ味


 5週連続となる東京競馬場でのGIレースも今週の安田記念で最後。香港馬が2頭も参戦することは私にとって、非常に苦戦することになりそうです(笑)。これに加えて、頭を悩ませることになりそうなのが、週中から降り続く雨。これは週末も続く予報が出ており、そうなると当日の馬場状態は重発表くらいになるでしょうか。

 天気や馬場状態で本命馬は変更するつもりですが、その根拠を変えるつもりはありません。それは「追い切り本数」。2020年以降、1着馬はすべて追い切り本数の多い調教タイプですから、これを最重要視する予定です。ちなみに不良馬場で行われた2014年の安田記念も1着馬は標準多め坂路でした。

【鳴尾記念/ロードデルレイ】

 6戦5勝。唯一の敗戦は2勝クラスを勝ったばかりの身で出走した神戸新聞杯。それでもクラシックで好走した馬たち相手に4着でしたから、その後の連勝は当然の結果といってよいのかも知れません。それだけに今回の重賞挑戦は4着時とは全く違う状況だと思います。

 ただ、出走できなかった大阪杯に向けて仕上げていて、それを一旦白紙にしての今回。その影響さえなければ問題ないのかなとは思います。追い切りパターンとしては、1週前追い切りだけCWであとは坂路。これが白富士Sと同じですし、追い切りがすべて単走というのも同じ。ただ、レース間隔はさすがに白富士Sよりもあいているので、ここがどうかでしょう。

【鳴尾記念/ボッケリーニ】

 昨年と同じく日経賞から鳴尾記念というローテーション。今年の日経賞は5着に敗れているので、その点が昨年とは違います。そして、追い切りのパターンとしても、4週前から週中はすべてCW追い切りだった昨年と違い、今年は最終追い切りのみ坂路というパターンになっています。

 最終追い切りが坂路というのは前走凡走でしたが、チャレンジCで2着の実績はあります。ただ、当時は併せ馬で今回は単走。微妙にパターンが変わっていることを気にすることはないような気はします。ただ、そもそも昨年よりも日経賞の着順が下だったということを踏まえると、あまりプラス材料でもないような気がします。

調教Gメン研究所

今年は最終追い切りを坂路で終えたボッケリーニ(5月22日撮影)


【安田記念/ソウルラッシュ】

 前走マイラーズCの時に「進化している」ことをCW追い切りから痛感しましたが、それを具体的に指摘すれば、ラスト1Fの10秒台。これを連発していたので、切れ味が増したという判断でしたが、それをレース結果でもしっかりと表した形だと思います。

 CW追い切りでのラスト1F10秒台。これは今回も継続中。やっぱり素晴らしい切れ味は追い切りごとに感じることができますし、調教量も豊富。良馬場ならいくら今の状態でも、という疑問を持っていましたが、雨が降るなら過去2回の安田記念での凡走とは状況が違います。そこに現状がプラスされたら結果は変わってくるでしょう。

調教Gメン研究所

切れ味も増し調教量も豊富なソウルラッシュ(5月22日撮影)


【安田記念/セリフォス】

 昨年の安田記念は休み明けで2着。あの時は1週前追い切りも最終追い切りもCWでしたが、4コーナーで頭を上げて行きたがるシーンが印象的。スピードの絶対値を感じるものの、操縦性に難があるのも間違いないという走りでした。

 それが今年の1週前追い切りでは全く違う走りになっています。乗り手の違いもあるかも知れませんが、5歳になって走りの質が向上していると判断したいところ。前走時の1週前追いと比較しても、今回の1週前追いの方が間違いなく動けています。最終追い切りは坂路4F57.9秒。29日の栗東坂路は時計を要する馬場ではありましたが、それにしてもかなり遅い時計で仕上げてきました。

調教Gメン研究所

走りの質が向上したセリフォス(5月29日撮影)


【安田記念/ナミュール】

 前走ヴィクトリアマイルは海外遠征帰りということもあったのか、栗東へ帰厩したのがレースの前週で、追い切りはたった2本。最終追い切りこそ、坂路で4F54.0秒、2F24.8秒とそれなりの時計でしたが、安田記念同様、追い切り本数の多さが重要になるレースでは厳しい運動量だったというのが個人的な見解です。

 今回は中2週。それでも中間にはリフレッシュ放牧を挟んで、前走と同じパターンで栗東へ帰厩。週末追い切りの時計はめちゃくちゃ軽くなりましたが、28日の調整の様子を見ると、すごく活発な歩きを見せていて、すでに前走以上の気配。最終追い切りは坂路4F56.0秒、2F25.5秒。ラストが11.9秒と全体はゆったりで終いだけ。29日の栗東坂路は11秒台が4頭しかいなかったので、それだけ動けたという評価にもなります。

調教Gメン研究所

すごく活発な歩きを見せたナミュール(写真中央、5月28日撮影)


◆次走要注意

・5/26 目黒記念【メイショウブレゲ】(9人/10着)

 勝ち馬がメンバー最速上がりを使っていて、その後ろにいたことを思えば、切れ負けしているわけですが、あまりにも上がりが速すぎただけ。ここでも勝負になることを示す走りだったと思いますし、距離は3000mを超えなくても、長距離戦で十分通用すると思います。

[メモ登録用コメント] [芝長距離]最終追い切りが坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<東京芝1600m>
◎追い切り本数標準以上の併用系統の調教タイプ
◎最終追い切り坂路馬場4F目最速ラップ
○追い切り本数の多い調教タイプ

 2回東京だと時計勝負に対応するため、速い4F時計が重要でしたが、芝の傷みが出てきて、雨の影響も受けやすい時期となる3回東京では下級クラスでも追い切り本数が重要になると思います。いわゆる、パワーが重要という意味では2回東京ではベターな調教適性だった坂路で4F目最速ラップが調教適性をアップさせると思います。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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