注目を集めるエリキングの仕上がりは?
今週は菊花賞。京都競馬場、芝3000mで行われた近5回を調べると、3着以内に入った15頭はすべて、追い切り本数が標準以上の併用系統の調教タイプ。基本的にこの調教タイプに該当している馬の出走が多いというのはありますが、2024年なら標準トラックのメイショウタバルが5番人気で16着でした。
今年は上位人気に支持されそうな中に追い切り本数が標準以上の併用系統に該当しないであろう馬がいます。追い切りを見ていると、決して無印にして良さそうな動きではないのですが(笑)。正直、ちょっと悩んでいます。
【アルテミスS/マルガ】
函館デビューですが、栗東では坂路でもCWでも将来有望調教に該当していました。つまり、追い切りではめちゃくちゃ動いていたということですが、今回、栗東でじっくり調整すると、より動きが目立っているといってもよいでしょう。
10月9日にCWでマジックサンズと併せていますが、相手が一気に抜き去ったと思いきや、ゴール前でその差を詰めてきて、1コーナーに入る頃には並びかけています。瞬発力という意味では相手に負けましたが、むしろ良い追い切りになったと思います。なにせラスト2Fは11.5秒、11.2秒ですからね。これはもう文句なしに評価できる調教内容です。

文句なしに評価できる調教内容だったマルガ(10月21日撮影)
【アルテミスS/フィロステファニ】
新潟芝1600mで新馬勝ちしていますが、当時の4着馬はダートとはいえ、先週の未勝利を圧勝。5着馬ガリレアは未勝利を勝ち上がった後にサウジアラビアRCへ出走して2着。対戦相手が続々と勝ち馬の株が上がる成績を残しています。
今回、レース間隔はあきますが、坂路とCWを併用して調教量は十分に消化。2週前追い切りのCWでは3頭併せで遅れる形となりましたが、1週前追い切りのCWではラスト2Fは11.4秒、11.0秒と速いラップを踏んでいるので、全く問題ありません。すでに左回りを経験していたり、前日輸送の経験もあるという意味ではアドバンテージもありそうです。
【菊花賞/エリキング】
デビューから3連勝で京都2歳Sで重賞制覇。その後、骨折が判明して、休養したこともあって、休み明けの皐月賞は仕方ない結果。それを叩いての日本ダービーは「無事なら秋は」と思わせてくれる内容でした。
神戸新聞杯をきっちりと勝って、今回の中4週。調教内容的に負荷が強まったという印象はありませんが、ゆったりと柔らかく動くことができているという意味では順調さが伝わってきます。最終追い切りはCW6F90.9秒でしたが、道中きれいな加速ラップを踏んで、ラスト2Fが12.1秒、11.8秒。時計は遅くてもラップの踏み方は良かったと思います。

道中きれいな加速ラップを踏んでいたエリキング(10月22日撮影)
【菊花賞/エネルジコ】
美浦所属馬ですが、今回の追い切りはすべて栗東で行うというロング滞在。すでに環境に慣れているということもあるのか、もともとの性格もあるのか、とにかく落ち着き払った様子が印象的。この距離は高い適性を持っているのではないかという感じがします。
しかし、今回の栗東ではCWでの追い切りしか消化していません。ちなみに美浦では週末に坂路で追い切っているので併用調教というのをデビューから4戦続けています。冒頭で紹介した人気に支持される中でのトラック単一調教馬。この判断が難しいところですが、CWでの追い切り自体はしっかり負荷をかけています。

落ち着き払った様子が印象的だったエネルジコ(10月21日撮影)
【菊花賞/ショウヘイ】
京都新聞杯を使った時は秋に向けて良い結果が出ればという陣営の意図でしたが、勝ったことで日本ダービーへ。そこでの3着は期待した以上の結果ということで、より秋が楽しみになっての前走神戸新聞杯でした。これも勝ち馬が強かっただけで、この馬としてはほぼ完璧な競馬。きさらぎ賞こそ崩れましたが、それ以外は堅実に走っています。
前向きなところがあるので、追い切りでも速い時計が出やすく、そのあたりが1週前追い切りのCW6F79.5秒に表れているのかもしれません。ゆえに最終追い切りがDPで単走というのは納得。私の手動計測で6F87.1〜5F68.5〜4F52.9〜3F37.7〜2F23.2〜1F11.3秒。最後の直線は気持ち良く、のびのびと走ることができていました。しかし、こちらもトラック単一調教馬。どうしたらよいでしょうか(笑)。

のびのびと走ることができていたショウヘイ(10月22日撮影)
◆注目の2歳戦
・10/18 2歳新馬【アドマイヤクワッズ】(1人/1着) 将来有望調教該当<2頭>
追い切りでの動きを見ていると、初戦からしっかりと結果を出してくれそうなタイプでしたが、レースは道中9番手から進める形。4コーナーでうまくバランスを整えて周回して、最後の直線は少しふらつくところがありながらも、体勢を整えると素晴らしい伸び。もう少し競馬も上手になってくるでしょうし、追ってからのスピードが今後の大舞台で大きな武器となりそうです。
◆開催おすすめの調教適性
<新潟芝1000m>
◎最終追い切り坂路馬場4F目最速ラップ
◎1週前追い以降トラックWラスト2F1F区間1秒以上加速かつラスト1F11.6秒以下
○1週前追い以降トラックWラスト3F2F区間1秒以上加速かつラスト2F11.9秒以下加速
坂路なら4F目最速でよいのですが、トラックの場合は細かなラップ設定があります。でも、先週の飛翼特別は7番枠からトラックWの◎に該当したベイビーキッスが快勝。最終追い切りの美Wでの12.6秒から11.6秒の加速がレースでのメンバー最速上がりにも繋がったと思います。