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好時計を出した牝馬2頭の対決に注目

  • 2011年07月04日(月) 18時00分
【栗東】
◆クレールドリュヌ(牝、父アドマイヤムーン、母ルークラティブ、栗東・野中賢二厩舎)
 近親には府中牝馬Sなど重賞3勝のデアリングハートがいる血統だが、追い切りで見せる動きからはそんな血統の良さがしっかり遺伝しているように思える。6月30日にCWでレースで騎乗予定の福永祐一騎手が跨っての追い切り。新馬エーシンクイッカーとの併せ馬だったが、直線に向いてからの反応は抜群。6Fは85.4秒と遅いが、4F51.5-3F37.1-1F11.8秒とかなり速いラップでゴール板を駆け抜けた。

「追ってからの反応が良くて思った以上に動きましたね。この時期の2歳にしては珍しいタイプで調教を積むごとに筋肉、心肺機能が上向いているんです。その分、攻め込めましたね」と野中調教師。デビュー戦となる7月9日(土)京都芝1200m(牝)でどのような走りを見せてくるか楽しみだ。

クレールドリュヌ

 なお僚馬エーシンクイッカーは7月10日(日)京都芝1400mを川田将雅騎手でデビューする予定となっている。

◆エイシンキンチェム(牝、父フジキセキ、母アルカイックレディ、栗東・高野友和厩舎)
 今年のJRAブリーズアップセールにて牝馬の最高価格2000万円で落札されているが、その評価通りの動きを見せたのが6月29日のDPでの追い切り。レースで騎乗を予定している川田将雅騎手が跨って新馬エーシンブランコスと併せたが、直線は相手を引き離す一方。時計の出る馬場だけに6F80.0秒は水準レベルだが、ペースが上がってからは5F64.3〜4F50.0〜3F36.6〜1F11.8秒とゴール板に向けてラップが速くなったことはきっちり折り合いがついていた証拠なので頼もしい。

「牝馬ですが、しっかり飼葉を食べてくれるので調整しやすいですね」と高野調教師。単なるスピードタイプというわけではなさそうなので、7月9日(土)京都芝1200m(牝)でのデビューが楽しみ。

エイシンキンチェム

◆コーダリー(牡、父アグネスタキオン、母キュンティア、栗東・橋口弘次郎厩舎)
 母キュンテイア、半姉オディールと橋口厩舎で管理されたゆかりの血統であり、橋口調教師は「初めての牡馬で楽しみ」とその活躍を期待している。

 入厩当初は少し落ち着きのないところもあり、6月23日のDP追い切りでは物見して落馬しそうになったりと「まだまだ落ち着きがない」と橋口調教師も辛口の評価をせざるえない状況となっている。それでも調教時計は徐々に詰めており、6月29日の坂路では4F54.7〜1F13.6秒。正直、少しずつ良くなっているという感じだが、良血馬だけに7月10日(日)京都芝1400mのデビュー戦は注目すべきだろう。なお鞍上は武豊騎手が予定されている。

コーダリー(左)コーダリー

◆サチノポピー(牝、父ロージズインメイ、母シャレーポピー、栗東・服部利之厩舎)
 母系からは芝短距離で3勝を挙げたポールシッターが出ているが、本馬も「ゲートは速いし、初戦向きのスピードタイプ」と調教に騎乗する田代助手からも短い距離で活躍しそうなコメントが出た。これまで坂路での15-15を山のように積んでおり、その調教量は文句ない。

 6月30日にレースで騎乗予定の和田竜二騎手が跨ってゲートから追い切られて、そのラップが12.8-12.0-13.3秒。ゲートに入ってから出るまでのセンスの良さを感じたし、スピードが乗った2F目の動きも抜群。予定されている7月10日(日)京都ダート1200mでは真っ先にゲートを出てレースの主導権を握るのではないだろうか。

【美浦】
◆コスモソウタ(牡、父キングヘイロー、母ロングアイラッシュ、美浦・水野貴広厩舎)
 昨年のHBAサマーセールに上場され、367万5000円(税込)で取り引きされた。全姉ベビーフェイスはスプリント戦で2勝している。6月10日に入厩し、その翌週には坂路で4F51秒台をマーク。先週の29日には松岡正海騎手を背に本馬場でビシッと追われ、5F63秒台の速い時計を出した。追われてグイッと先着したフットワークには力強さを感じる。

「コースでビシッと追ったのは初めて。思っていたとおり、いい動きを見せてくれた。終いがしっかりしているし、ジョッキーの感触もいい。初戦から楽しみにしています」と水野貴広調教師。7月9日、中山の芝1600mを松岡騎手で予定している。

◆サトノヒーロー(牡、父ディープインパクト、母サトノアマゾネス、美浦・藤沢和雄厩舎)
 デインヒル産駒の母は3戦目で勝ち上がったが、その後に脚もとの不安などもあって繁殖入り。ディープインパクトとの間に生まれた本馬が初仔となる。サトノプレジデントとともに6月4日に入厩し、坂路を中心としたメニューで順調に乗り込まれてきた。

「お母さんは大型馬でパワフルだったけど、小さなディープを配合して中間サイズの体つきに出た。ストライドが大きいし、いい馬だよ。いかにも北海道の洋芝は合うんじゃないかな」と藤沢和雄調教師。7月9日、函館の芝1800mを武豊騎手で予定している。

◆サトノプレジデント(牡、父シンボリクリスエス、母ダンスインザムード、美浦・藤沢和雄厩舎)
 桜花賞馬の母は古馬になってからもヴィクトリアマイルを制した名牝。初仔の半姉ダンスファンタジアは年明けのフェアリーSを勝ち、今年のクラシック戦線を盛り上げた。サトノヒーローと同じく6月4日に入厩し、その翌週にはゲート試験をクリア。坂路を中心に乗り込まれ、4F53〜54秒台の時計をコンスタントに出している。

「ゲート試験を一発で受かったようにセンスがいいし、とにかく健康な馬で順調に乗り込めている。稽古でブリンカーを着けたりして前向きさが出てきたし、この血統だからね。もちろん、期待していますよ」と藤沢和雄調教師。7月9日、中山の芝1600mを予定している。横山典弘騎手が騎乗停止になってしまったため、鞍上は調整中だ。

◆ディアコンコルド(牡、父ダイワメジャー、母エスユーエフシー、美浦・加藤征弘厩舎)
 2009年のセレクトセールに上場され、3500万円で落札された。半兄に現オープンのミッキーパンプキン、現1000万下のインプレザリオがいる。5月21日に入厩して以来、じっくりと乗り込まれてきた。ここ2週はウッドチップコースで負荷をかけ、意欲的に追われている。

「500kgほどあるけど、ダイワメジャーの子にしてはスッキリとした体つき。気難しいところも見せていないし、成長力がありそうな馬だね」と加藤征弘調教師。7月9日、中山の芝1600mを蛯名正義騎手で予定している。

◆トーセンヴェール(牝、父クロフネ、母ツィンクルヴェール、美浦・加藤征弘厩舎)
 2009年のセレクトセールに上場され、1800万円で落札された。祖母ツィンクルブライドは桜花賞2着馬。おじに重賞2勝(デイリー杯2歳S、シンザン記念)の他、朝日杯FS3着、高松宮記念2着など活躍したペールギュントがいる。

「気のいい牝馬で仕上がり早のタイプ。フットワークも軽いし、いいモノを持っている」と加藤征弘調教師。7月10日、中山の芝1200mを蛯名正義騎手で予定している。

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栗東担当:井内利彰 「競馬予想TV!」に出演中の調教捜査官。調教主体や厩舎取材の予想を提供中。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」など。

美浦担当:竹之内元 大学に通うため、東京競馬場から徒歩3分のアパートに住んだことで転落人生を歩み出した38歳ライター。POGでは中山大障害勝ちのメルシータカオー指名が自慢。

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