【栗東】
◆アンチュラス(牝、父ディープインパクト、母アンチョ、栗東・安田隆行厩舎)
全姉イングリッドは東京芝1600mの新馬戦を完勝し、現時点では3戦2勝。当然本馬への期待も大きくなるところだが、安田隆行調教師は「この血統はカッとなりやすい気性のようなので、その点に気を付けていきたいですね」と入厩当初は慎重なコメント。しかし調教を進めていくごとに短所と思われた気性が影を潜め、動きの良さだけが目立ってきた。
8月17日にレースでも騎乗予定の川田将雅騎手が跨って坂路での併せ馬。ホーマンレーヴに半馬身ほど先着していたが、ゴール前では一杯に追う相手を引き離して馬なりで先着。8月24日はCWで先週のBSN賞で2着だったレディルージュと併せて先着。手応えは相手優勢だったが、追走して先着したあたりにセンスの高さを感じる。9月10日(日)阪神芝1400m(牝)でのデビューが今から楽しみ。
◆オリービン(牡、父ダイワメジャー、母シャンクシー、栗東・橋口弘次郎厩舎)
兄姉にマイル以下の距離で芝とダートで5勝を挙げたピクシーダストや芝1800mで4勝を挙げたラヴドシャンクシーなど様々なタイプがいる血統だが、本馬はクラシック路線で主役を張れる本格派。
入厩当初は気の悪さを見せるところもあったが、調教を進めるたびに従順になり、8月17日の時点で坂路4F53.9秒を馬なりでマーク。そして8月24日には同じく馬なりで坂路4F51.6秒を出している。もともと橋口弘次郎調教師の期待の大きな馬ではあったが「追い切りでは常に持ったままで抜群の行きっぷり。とにかくセンスがいい」と目を細める。1週前追い切りとなる8月31日は坂路で格上スカイスクレイパーと併せたが、ここでも相手を問題にしない脚力で4F53.1秒で馬なり先着。予定されている9月11日(日)阪神芝1600mは好メンバーが揃う高レベルレースは必至だが、その中でも主役を張るのはこの馬。なお鞍上は小牧太騎手。
◆タガノミュルザンヌ(牝、アグネスタキオン、母レディアップステージ、栗東・松田博資厩舎)
兄姉に日本での活躍馬はいないものの、母系からは英重賞の勝ち馬も数多く輩出されているという良血。2009年セレクトセール当歳では1900万円で落札されている。本馬は8月17日のゲート試験に合格して一旦放牧に出される予定もあったが、そのまま9月10日(土)阪神芝1400m(牝)のデビューを目指して調教を進めることになった。
8月31日にCWで格上アドマイヤバートンに先行する併せ馬を行ったが、力強いフットワークで同入、6F84.5〜1F13.1秒。時計は平凡だが、追い切りで速い時計を出す松田博厩舎の牝馬はおらず、実戦タイプの馬が多いだけに数字は気にする必要はない。とにかく雰囲気のある馬だけに、デビュー戦から注目してみたい一頭だ。
◆ジェームズバローズ(牡、ディープインパクト、母ミスフーバフーバ、栗東・中竹和也厩舎)
兄姉はすべて勝ち上がっており、2009年セレクトセール当歳では3000万円で落札されている。7月16日に函館へ入厩、その翌日の調教には中竹和也調教師が自ら跨っているが「まだ奥がありそうだけど、いい背中をしていて、現時点でも十分に大物感がある」と評価。7/27のゲート試験に合格すると一旦放牧に出されたが、8月19日に再入厩。その後も同師の思惑通りの調教を進めており、8月31日には函館Wで追われ、すでに勝ち上がっているタマモキャッツアイを外から交わして1馬身先着。時計は5F70.1秒と遅かったが、動きの良さが目立った。デビュー戦は9月11日(日)札幌芝1800mを三浦皇成騎手で予定している。
【美浦】
◆コスモシャンハイ(牡、父アドマイヤドン、母シャンハイセンプー、美浦・尾関知人厩舎)
新潟2歳Sをモンストールで勝ち、開業3年目にして重賞初制覇と気勢の上がる尾関厩舎。今週から始まる秋の中山開催では開幕週と2週目に4頭をデビューさせる予定だ。
本馬は祖母の半兄にスプリングS2着のドースクダイオーがいる。先々週の8月26日に坂路でビッシリと追われ、4F52.3秒の時計をマーク。先週の9月1日にはポリトラックで5Fから併せ馬を消化し、しっかりと息をつくってきた。「筋肉質の体つきでパワー型のタイプ。血統的にもダート向きだと思います。ひと追い毎に上向いてきたし、楽しみが出てきました」と尾関調教師。9月11日、中山のダート1800mを予定している。
僚馬のデルマジュロウジン(牡、父サムライハート、母デルマステファニー)は、祖母がフラワーC3着のテンシノウタ。こちらは9月11日、中山の芝1600mを予定している。
◆ステージナーヴ(牡、父ファルブラヴ、母プライムステージ、美浦・宗像義忠厩舎)
サンデーサイレンス産駒の母は重賞2勝(札幌3歳S、フェアリーS)、桜花賞3着の活躍馬。現役で活躍中の半兄アブソリュートは重賞2勝(東京新聞杯、富士S)、伯父に重賞2勝(日経賞、ステイヤーズS)のステージチャンプ、いとこにジャパンCを制したスクリーンヒーローがいる。8月26日にゲート試験をクリア。ここ2週は坂路で4F54秒台の時計を出している。「うるさかった兄たちに比べると素直で大人しいし、ゲートも普通に出る。いいスピードがありそうなタイプです」と宗像調教師。9月11日、中山の芝1600mを木幡初広騎手で予定している。
◆ダイワカリエンテ(牝、父ネオユニヴァース、母ソロリサイタル、美浦・宗像義忠厩舎)
米国産の母はスピードを武器にスプリント戦で3勝。半姉に現3勝のジャズピアノ、同じく半姉のバラードソングとテーマソングはデビュー勝ちを飾っている。当初は新潟の3週目を予定していたが、除外で待機。4週目のデビューも見送り、万全を期して中山に目標を切り替えた。先週の追い切りでは4日の新潟で初勝利を飾ったダイワスペシャルを相手に優勢の手応えで併入。「除外もあったし、気性的にカリカリしているので輸送時間が短い中山に延ばした。体は仕上がっているし、いいスピードがある」と宗像調教師。9月10日、中山の芝1200mを田中勝春騎手で予定している。
◆セイウンヴィオラ(牡、父フジキセキ、母ミストラルグリーン、美浦・奥平雅士厩舎)
一族からはシンコウフォレスト、メジロダーリング、シンボリスウォードなどの父として知られるグリーンデザート(仏G?ジュライC)が出ている。そのほか、近親にはダークシャドウ(エプソムC)がいる。じっくりと乗り込み、攻め馬の本数は豊富。先週の1日には坂路で3頭併せを消化し、4F52.4秒の時計で先着した。「ゲート試験に少し時間がかかったけど、新潟の3週目を使おうかと考えていたぐらいだし、息は十分にできている。馬がしっかりしているし、初戦から力を出せる仕上がりにあると思います」と奥平調教師。9月11日、中山の芝1600mを大野拓弥騎手で予定している。
僚馬のイルポスティーノ(牡、父フレンチデピュティ、母チアズメッセージ)は、半兄に現3勝のプレファシオがいる。こちらは9月10日、中山のダート1800mを平野優騎手で予定している。