スマートフォン版へ

ダービー馬の半弟ダノンムーンがデビュー

  • 2011年10月03日(月) 18時00分
【栗東】
◆ダノンムーン(牡、父ディープインパクト、母ムーンレディ、栗東・藤原英昭厩舎)
 半兄は同厩舎で管理され、2010年日本ダービーを優勝したエイシンフラッシュ。今年に入っても天皇賞春2着、宝塚記念3着とGIの第一線で活躍している。それだけに本馬への期待も大きくなるだろう。調整過程だが、7月21日にゲート試験に合格してから一旦放牧へ。帰厩したのは8月下旬。9月15日にはCWで新馬エリモフラッシュと併せて6F81.7秒を馬なりでマークする素軽い動きを見せた。1週前追い切りとなった9月28日のCWでも新馬デアリングプライドと併せて追う相手に馬なりで先着。時計は6F85.2秒と遅かったものの、それ以上に中身のある走りを見せている。デビューは10月8日(土)京都芝1800mを岩田康誠騎手で予定されている。
ダノンムーン



◆ミッキーヘネシー(牡、父ハーツクライ、母ストーミングヘヴン、栗東・橋口弘次郎厩舎)
 先々週はコーダリー、先週はオリービンと2歳馬が続々と勝ち上がる橋口厩舎だが、初戦から楽しみなのが本馬。そう感じたのは9月22日の坂路での追い切り。併せた相手は新馬勝ちしているクラレントだったが、手応え優勢で1馬身ほど先着。この動きに「入厩当初は気の悪さを見せていたけど、ここにきて走ることに集中できているね」と橋口弘次郎調教師。近親に目立った活躍馬はいないものの、父ハーツクライから受け継いだスピード能力の高さで活躍が期待できる。10月9日(日)京都芝1400mを後藤浩輝騎手でデビューする予定。
ミッキーヘネシー



◆アワーグラス(牝、父アグネスタキオン、母ファレノプシス、栗東・中竹和也厩舎)
 母は1998年に桜花賞、秋華賞を優勝、2000年にはエリザベス女王杯を制した名牝だが、母となってからの仔は勝ち上がるものの、重賞を制覇するまでには至っていない。しかし半姉ルアシェイアも管理した中竹和也調教師からは「大物が出たかも」と入厩以前から本馬への期待の高さを表現した。6月30日にはゲート試験に合格していたが、成長を促す意味でも一旦放牧へ出され、夏は大山ヒルズで過ごした。そして9月に入ってから帰厩し、その後はとにかく順調に坂路で時計を出している。9月29日にはレースでも騎乗が予定されている佐藤哲三騎手が跨って坂路での追い切り。併せた相手は古馬チャームドリームだったが、ゴールでは相手が一杯に追う形になり、結局馬なりで先着。時計の出やすい馬場だったとはいえ、4F52.2秒は非常に速く、水準以上の時計は間違いない。デビュー戦はドリームジャーニー、オルフェーヴルの半妹マトゥラーも出走を予定している10月9日(日)京都芝1600m(牝)。牝馬限定戦としてはトップクラスのメンバーが揃いそうだ。

◆エイシントラベラー(牡、父Half Ours、母Hang Up、栗東・西園正都厩舎)
 父は米G2のリッチャー・スケールBCスプリント・チャンピオンシップHを優勝しており、父の父はUnbridled's Song(日本での代表産駒はラヴェリータ)という血統。トレーニングセール出身馬なので、ダートっぽさがあるのかと思いきや「動きを見ていると、ダート馬という感じでもないよ」と西園正都調教師。9月28日には坂路で新馬エーシンスピーダーと併せたが、ゴールでは4馬身近く先着。その時計4F52.3〜1F12.2秒はいくら時計が出やすい馬場だったとはいえ、新馬ではトップクラスの数字。「スタートが速いので先手をとる競馬ができれば」とは同師だが、この動きを見る限り、思惑通りの競馬ができるのではないだろうか。相手の揃う10月8日(土)京都芝1800mでのデビュー予定だが、注目しなければいけない一頭。なお鞍上は武豊騎手が予定されている。

◆クルクルリンクル(牝、父オレハマッテルゼ、母フェイムオブラス、栗東・須貝尚介厩舎)
 先週のゴールドシップは惜しい競馬で札幌2歳Sを2着。新潟2歳S、小倉2歳Sに続く2着と優勝こそないものの、現2歳世代はみな一線級で活躍する須貝尚厩舎。本馬に関して、須貝尚介調教師は慎重なコメントをしていたが、現在では「思った通りの調教メニューをこなしてくれているので、出走態勢が整った」とそのレベルは確実に上昇している。9月28日の坂路では併せた新馬スリーアフロディテに遅れたものの、追走しての内容だけに仕方ない。なお時計は4F53.0〜1F12.4秒にまとめている。デビューは10月9日(日)京都芝1600m(牝)を後藤浩輝騎手で予定している。
クルクルリンクル



【美浦】
◆ウィケットキーパー(牝、父アグネスタキオン、母コートアウト、美浦・国枝栄厩舎)
 半兄に京王杯SCの勝ち馬で安田記念2着のストロングリターン、現オープンのダイワマックワン、現3勝のブレイクチャンスがいる。9月7日に入厩した当初から東京の開幕週に目標を定め、至って順調に乗り込まれてきた。しばらくは坂路を中心としたメニューで調整されてきたが、9月28日には蛯名正義騎手を背にポリトラックで5Fから追われて軽快なフットワークを披露。430キロ台の馬体で態勢は整っている。「気性的にピリッとしたところがあるけど、いい馬だよ。春先から雰囲気の良さを感じていたし、うまくコントロールできれば楽しみ」と国枝調教師。10月8日、東京の芝1600m(牝馬限定)を蛯名騎手で予定している。

◆シュガーヒル(牡、父クロフネ、母ソルティビッド、美浦・国枝栄厩舎)
 牝馬3冠などGIを5勝しているアパパネの半弟。9月2日に入厩し、坂路を中心に乗り込まれてきた。先週の28日には北村宏司騎手を背に4F50.8秒の自己ベストをマーク。偉大な姉と比較される血統馬だけに陣営も慎重な構えを見せていたが、ここに来て気配は上向いている。「お姉ちゃんと一緒で最初は目立たなかったけど、ひと追い毎に良くなってきたし、やれば動くね。気性も素直だし、いいところはあると思う。現状では短めの距離がいいんじゃないかな」と国枝調教師。10月10日、東京の芝1400mを北村宏司騎手で予定している。

◆オコレマルーナ(牡、父ディープインパクト、母ラスリングカプス、美浦・堀宣行厩舎)
 半姉にスプリンターズSなど重賞4勝のアストンマーチャンがいる。夏場にゲート試験を受けてから牧場で乗り込みを進め、9月2日に再入厩。先週の29日には美浦に駆けつけた福永祐一騎手を背にダークシャドウと併せ馬で追われ、重賞ウイナーの古馬を相手にヒケを取らぬ動きを見せた。「力の要るチップだと少しモサモサするところがあるけど、芝向きの軽い走りをする。ひと追い毎に絞れてきたし、うまくタメが利けば切れる脚を使えそう。能力の高さを感じさせる馬です」と橋本調教助手。10月9日、東京の芝1800mを福永騎手で予定している。

◆サトノグロリアス(牡、父ジャングルポケット、母マンハッタンセレブ、美浦・藤沢和雄厩舎)
 伯父に菊花賞、有馬記念、天皇賞・春とGI・3勝のマンハッタンカフェ、オールカマーを制したエアスマップがいる。お盆過ぎに入厩してから時間をかけて乗り込まれ、9月30日には坂路でペルーサと併せて4F51.4秒をマーク。大型馬で雄大なフットワークを見せている。「この血統にしては気性的にも難しいところがないし、ひときわ目を惹く動き。加速してからのアクションがいいし、いかにも府中のような広いコースで走らせたいタイプ。楽しみな馬ですよ」と津曲調教助手。10月9日、東京の芝1800mを予定している。

◆パストフォリア(牝、父シンボリクリスエス、母ハッピーパス、美浦・藤沢和雄厩舎)
 藤沢ブランドの血統馬。母は京都牝馬Sを勝っており、半兄に現2勝のラヴェルソナタ、伯母にマイルCSなど重賞6勝のシンコウラブリイがいる。8月25日に入厩。9月28日には坂路でペルーサと併せて4F53.8秒、10月2日にも4F52.5秒をマークしている。「ここまで順調に進めてくることができたし、牝馬らしい素軽い動きを見せている。お兄ちゃんとはタイプが違い、手先が軽くて切れそうな感じですね」と津曲調教助手。10月8日、東京の芝1600m(牝馬限定)を北村宏司騎手で予定している。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

栗東担当:井内利彰 「競馬予想TV!」に出演中の調教捜査官。調教主体や厩舎取材の予想を提供中。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」など。

美浦担当:竹之内元 大学に通うため、東京競馬場から徒歩3分のアパートに住んだことで転落人生を歩み出した38歳ライター。POGでは中山大障害勝ちのメルシータカオー指名が自慢。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング