最近10年間の「日本ダービー」で3着以内に快走した30頭のうち、ちょうど三分の二の20頭が「皐月賞」に出走していた馬によって占められる。(皐月賞のあと、NHKマイルC、京都新聞杯、プリンシパルSをはさんだ馬が5頭いる)。
直前のレースが今週の「青葉賞」だったのは、02年シンボリクリスエス、03年ゼンノロブロイ、04年ハイアーゲーム、06年アドマイヤメイン、そして昨11年のウインバリアシオン。この5頭は皐月賞には出走していない別路線組になる。皐月賞組ではなく、かつGIのNHKマイルC組でもないグループがダービーで好走するのは難しいが、その中で、青葉賞組の善戦は最近10年に限ると光っている。ちょっと遅れて台頭した2400mの距離をこなせる伏兵グループが、近年のダービーの伏兵なのである。
◎は、東のフェノーメノ(父ステイゴールド)。父ステイゴールドはメジロマックイーン牝馬ときわめて相性がいいことで知られ、オルフェーヴル兄弟だけでなく皐月賞のゴールドシップも送っているが、実は相手が、ほとんどの馬があてはまるノーザンダンサーの血を3〜4代前に内包している牝馬でありさえすれば、カコイーシーズ でも、タイトスポットでも、モガンボでも、ポリッシュネイビーでも、その血を生き返らせてしまう。
フェノーメノの母の父は、世界のブルードメアサイアー.チャンピオンにも相当するデインヒル(祖父がノーザンダンサー)。母ディラローシェは、1999年のジャパンCでスペシャルウィークの2着した香港のインディジェナス(生産は愛国)の半妹になる。距離をこなせる欧州タイプが牝系の特徴だから、ステイゴールドとの配合は最高にちかい。
もし人気に応えてここを突破できるようだと、ダービーの伏兵になっても不思議ない。
オルフェーヴル兄弟や、ゴールドシップ、ナカヤマナイトなどとはまたちょっと違ったタイプで、大跳びの先行スピードが持ち味。中山では先に行けずに成績は上がっていないが、東京の2000mで2戦2勝。楽々と後半3ハロンを34秒台でまとめてくる。
対するのは、ハーツクライ産駒のカポーティスター。母の父カポーティというと日本で知られる馬の印象はあまり良くなく、クラシックとかGIとは無縁に思えるが、シアトルスルー系と理解すれば問題ない。先週の新緑賞2300mは上がり「11秒3-11秒1-11秒1」の後半を独走。同馬の上がりは33秒0だった。ローテーションは連闘。ここで快走してもダービーは連闘後になり、昨年のトーセンレーヴがダブってしまうが、それはダービーのことで、ここはその能力を高く評価したい。
デキの良さが光るタムロトップステイ、エタンダール、ミルドリームがその次。青葉賞といえば美浦の藤沢厩舎。今年もジャングルクルーズ、サトノギャラント、ダノンゴールド。なんと3頭も出走させてきた。ジャングルクルーズ、サトノギャラントはとても軽視できないが、オッズとの絡みで、連の押さえの相手にとどめた。