【栗東】
2歳新馬戦の施行時期が早まった今年、4月時点では栗東へ入厩している頭数は決して多くない。またゲート試験に合格している馬も少ないため、阪神開幕週で頭数が揃うのか、気になっていたが、徐々に入厩頭数が増え、ゲート試験に合格する頭数も増加。1か月ほど前の心配など杞憂に終わりそうだ。
ロジユニヴァース全弟トーセンパワフル
松田厩舎のディアマイベイビー
この原稿を書くにあたって、昨年の同原稿を読み直したが、そこにはマーガレットSを勝ってNHKマイルCに出走したシゲルスダチやデイリー杯2歳Sを優勝し、NHKマイルCでは3着だったクラレントなど、来春のG1に出走したメンバーがすでに入厩していた。今年は昨年以上に良血と呼ばれる馬がデビューへの準備を着々と進めているだけに、ここに名前の挙がった中からクラシックレースに出走してくれる馬もいるのではないかと期待している。
その筆頭に挙げてよいだろう、ロジユニヴァースの全弟がトーセンパワフル(牡、父ネオユニヴァース、栗東・角居勝彦厩舎)。入厩からゲート試験まで至極順調に進めており、追い切りもすでに坂路とD芝で消化。その動きも非常に良く、デビューが予定されている6月2日阪神芝1600mへ向けて万全の態勢が整いそうだ。なお鞍上は福永祐一騎手が予定されている。
同じ開幕週の芝1600mにデビューすると思われるのがディアマイベイビー(牝、父ディープインパクト、栗東・松田博資厩舎)。こちらはCWで同厩タガノラルフとの併せ馬を消化しており、その時計は6F83.6〜1F12.6秒。余力が残った状態でこの時計が出せるのだから、2頭ともにすでに新馬戦で勝ち負けする動きを見せている。翌々日には2頭ともに栗芝で普通キャンターを行ったが、それも雰囲気のある走り。また、すでに入厩しているラウンドワールド(牡、父ディープインパクト)、母マサコチャン(牝、父クロフネ)の2頭にも注目。今年は夏からマツパク旋風が吹く可能性もある。
姉は桜花賞馬の母マストビーラヴド
サドンストーム全弟ティーハーフ
ゲート練習中スローンストリート
西浦勝一厩舎には桜花賞馬ラインクラフトの半弟、母マストビーラヴド(牡、父メイショウサムソン)が入厩。京王杯2歳Sで2着のサドンストームの全弟、ティーハーフ(牡、父ストーミングホーム)とともにゲート練習中。西浦調教師は「練習でもスムーズだし、来週(原稿公開時点では今週)にはゲート試験を受けることができそう」とコメント。どちらも阪神開催中でのデビューは間違いないだろう。
ダートで8勝を挙げたカイトヒルウインドの半妹にあたる母スローンストリート(牝、父クロフネ)が母ササファイヤー(牡、父ホワイトマズル)とともに現在、ゲート練習中。「2頭とも雄大な馬体をしていて、頼もしいですね。母ササファイヤーはゲート試験に合格すれば、一旦ペースを緩めるかも知れませんが、母スローンストリートはそのまま使えれば」と大久保龍志調教師から見通しを教えてもらった。
安田隆行厩舎にはロードカナロアの半妹アウトシャイン(牝、父ネオユニヴァース)がすでに栗東へ入厩しているが、動きが目立っているのはゼンノコリオリ(牡、父ブラックタイド)。5月17日の坂路では4F54.3〜2F24.8〜1F12.3秒と古馬でもなかなかマークできないラスト2Fのラップを刻んだ。速い追い切りだっただけに、その後のソエなどの症状が気にされたが、現在のところは大丈夫。5月下旬には函館競馬場へ移動し、1週目もしくは2週目の芝1200mでのデビューが濃厚。なおアウトシャインは阪神開催でのデビューとなる予定。
この他にも気になる有力馬がたくさん在厩している栗東だが、今後は今週のデビュー馬情報でじっくりとご紹介していきたい。
【美浦】
◆ウインコサージュ(牝、父ダイワメジャー、母シークレットコサージュ、美浦・手塚貴久厩舎)
5月16日の水曜日、手塚厩舎に入厩している3頭の2歳馬が美浦トレセンの坂路で速い時計を出した。この馬がマークした4F51.4秒は2歳馬全体の1番時計。5月4日のゲート試験にも一発で合格しており、仕上がりは順調だ。現3歳の半兄ホッコーゼニトは5月6日にデビュー3戦目で勝ち上がっている。「ちょっと一本調子っぽいところがあるけど、いいスピードがある。入厩前から早めに使いたいと考えていたし、体力的にも初戦から動けると思う」と手塚調教師。デビュー戦は6月3日の東京・芝1600mか、9日の東京・芝1400mを松岡騎手で予定している。
なお、手塚厩舎からはシェアードワールド(牡、父ゼンノロブロイ、母デュアルストーリー)とアイサレジョウズ(牝、父Refuse To Bend、母ロシャーニ)も東京でデビューする予定だ。
◆シェーンメーア(牡、父Arch、母Chatham、美浦・藤沢和雄厩舎)
東京のメイクデビューに合わせ、藤沢和雄厩舎にも4月下旬から2歳馬が続々と入厩してきた。この馬は近親にBCジュヴェナイルフィリーズを勝ち、エクリプス賞の2歳牝馬チャンピオンに輝いたFlandersがいる。育成先のファンタストクラブでも乗り味の良さが評判になっていた。5月6日に坂路で4F52.7秒をマーク。16日にも全体の時計こそ速くないが、ラスト2Fは12秒台のラップを刻んだ。「徐々にピッチを上げていくけど、いい馬。大型馬だし、どう変わってくるのか楽しみ」と厩舎サイド。青鹿毛で見栄えのする好馬体の持ち主だ。デビュー戦は6月10日、東京の芝1800mを予定。鞍上は内田博幸騎手を確保している。
なお、藤沢和雄厩舎ではエグゼビア(牡、父ゼンノロブロイ、母エグジジェ)とフラムドグロワール(牡、父ダイワメジャー、母シルクプリマドンナ)も態勢が整えば東京で下ろす方針だ。
◆ドラゴンレジェンド(牡、父ステイゴールド、母レーゲンボーゲン、美浦・久保田貴士厩舎)
半姉アニメイトバイオはローズSの勝ち馬。2010年のセレクトセールにおいて3200万円で落札された。4月27日に入厩し、5月11日にゲート試験をパス。坂路とコースを併用して調教の本数を重ねており、素材の良さを感じさせる1頭だ。「ゲート試験を含め、素直に調教を進められている。いいモノを持っていることは間違いない」と厩舎サイドの評価は高い。デビュー戦は6月3日、東京の芝1600mを視野に入れている。
なお、久保田厩舎ではグレートムガル(牡、父フレンチデピュティ、母オルティア)とホワイトフリート(牡、父クロフネ、母ファインセラ)も東京デビューを予定している。