【栗東】
◆ティーハーフ(牡、父ストーミングホーム、母ビールジャント、栗東・西浦勝一厩舎)
サドンストーム全弟ティーハーフ
同厩舎で管理される全兄サドンストームは京王杯2歳S2着、ファルコンS3着という重賞実績を残しており、香港で管理される半兄ラッキーナインは2011年香港スプリントを勝っている。血統面でも十分注目に値する素材だが、調教内容を見ていると、兄以上の活躍も期待できるのではないかと思ってしまう。比較になるが、サドンストームのデビュー前の坂路での最速4F時計は最終追い切りで出した一杯に追われての53.2秒。一方、ティーハーフは先週の追い切りで4F52.7秒。最後まで余力を保った形での動きだっただけに、本当に目一杯やれば、52秒を切ってくるのではないだろうか。西浦勝一調教師からは「今週の動きで十分に態勢が整いました。来週はあまりやらなくていいでしょう」とコメントが出ているので、これ以上速い時計は出ないだろうが、レースでのパフォーマンスが楽しみになった。6月23日(土)阪神芝1200mを武豊騎手でデビュー予定。
◆マズルファイヤー(牡、父ホワイトマズル 、母ササファイヤー、栗東・大久保龍志厩舎)
入念に調教積まれたマズルファイヤー
半兄プラテアードは2007年日本ダービーに出走し、芝で2勝、ダートで2勝、障害で1勝するなど、マルチな競走馬として活躍した。5月23日のゲート試験には落ちてしまったが、翌々日には問題なく試験をパスした。その後は坂路での調教を中心に積まれており、6月13日には中井裕二騎手が跨って(レースでは内田博幸騎手が騎乗予定)、スカイノインチャンとの併せ馬。大久保龍志調教師が「ジョッキーが絶賛していた」という動きは坂路4F56.8〜1F12.4秒で2馬身ほど先着。全体的な時計は速くないが、ラスト2Fの数字がしっかりしており、入念に調教が積まれた効果が出ている。デビューは6月24日(日)阪神芝1800mが予定されている。
◆テイエムシングン(牡、父サクラバクシンオー、母スズカブルーム、栗東・鈴木孝志厩舎)
近親に函館芝1200mで新馬勝ちし、2002年フェアリーS(中山芝1200m)を制したホワイトカーニバルがいる血統。ちなみに母は函館芝1000mで新馬勝ちしている。ゲート試験合格後は、CWと坂路を併用して調教が進められており、CWでの追い切りでは2週連続で3歳馬相手に大きく先着。相手は未勝利馬とはいえ、年上相手にしっかり先着するあたりに現状の完成度を感じる。また15日にはレースでも騎乗が予定されている松山弘平騎手が騎乗してゲートからの調教。最初の2Fを12.5-12.6秒を馬なりでまとめており、ジョッキーも好感触だった様子。予定されている6月23日(土)阪神芝1200mでハナを切るのはこの馬かも知れない。
◆カノヤベンチャー(牡、父サクラバクシンオー、母カノヤザミラクル、栗東・坂口正則厩舎)
叔母カノヤザクラは2008年、2009年のアイビスSDを連覇するなど、重賞3勝。2009年スプリンターズSでは3着に入るなど、短距離戦の第一線で活躍した。5月31日のゲート試験合格後は、僚馬デンコウシラヌイを調教パートナーに調教を積み重ねているが、常に併せ馬では先着。特に6月13日のCWでは相手がバテたこともあるが、1秒近く先着する動きを見せた。15日に坂口正則調教師にお話しを聞くと「来週の追い切り次第で」という条件付きで、6月23日(土)阪神芝1200mへの参戦を予定。血統の裏付けがあるだけに出走してくれば、非常に面白い存在となりそうだ。
【美浦】
◆クレバーユニバース(牡、父ネオユニヴァース、母メルヴェイユーズ、美浦・岩戸孝樹厩舎)
セレクトーセルの出身。1994年の安田記念とマイルCSを制したマイルの女王・ノースフライトの孫にあたる。5月のゴールデンウィークに入厩し、坂路とウッドチップコースを中心に乗り込んできた。特筆するような時計こそ出していないが、週2本の追い切りを順調に消化。福島の1800m戦に合わせ、じっくりと態勢を整えてきた。「反応よく動くし、手応えも楽。あまり大きなことは言わないけど、走ると思いますよ」と岩戸調教師の期待は大きい。6月23日、福島の芝1800mを内田博幸騎手で予定している。
◆ザラストロ(牡、父ホワイトマズル、母セクシーココナッツ、美浦・武藤善則厩舎)
1歳上の半姉プレノタートは昨夏の京都でデビュー勝ち。今春はフィリーズレビューで3着に入り、桜花賞(14着)に出走した。その他にもラルティスタ、パシオンルージュと姉の3頭は全て2勝以上と堅実に走っている。徐々に調教のピッチを上げ、ここ2週はポリトラックで5F65秒台の速い時計をマーク。特に先週の13日は柴田善臣騎手が手綱を取り、馬なりで追走併入と動きの良さが目立った。「子出しのいい血統だし、見た目の馬っぷりも動きもいい。上は短い距離で走っているけど、初めての男馬だし、ダンスインザダークの肌にホワイトマズルという配合なら1800mにも対応できると思う。ちょっと見どころがありそうな馬ですよ」と武藤調教師。6月23日、福島の芝1800mを柴田善臣騎手で予定している。
◆ソウキュウ(牝、父ファルブラヴ、母パーフェクトブルー、美浦・鈴木伸尋厩舎)
いとこに現オープン(京王杯SC3着)のインプレスウイナーがいる。5月末に育成先の牧場から函館競馬場に直入。まだ入厩して間もないが、仕上がり早の牝馬で軽快な動きを見せている。「ゲートの出も速いし、いいスピードがありそう。初戦から楽しみ」と鈴木伸尋調教師。6月24日、函館の芝1200mを三浦騎手で予定している。
◆ベルウッドテラス(牡、父ステイゴールド、母リリーポンド、美浦・二ノ宮敬宇厩舎)
米国産馬の母は未出走。半姉ピエナリリーはダートで勝ち上がった。5月23日にゲート試験を合格。ひと追い毎に気配が上向き、先週の13日には蛯名正義騎手を背にポリトラックで5F63秒台の速い時計を出した。当初は4週目のデビューを視野に入れていたが、ナカヤマシャイン(牡、父マンハッタンカフェ、母オースミシャイン)と入れ替える形で予定を前倒し。陣営のムードは急上昇している。「普段はフワッとしているけど、ジョッキーが乗るとキリッとする。ステイゴールドの子にしては気性がいいし、稽古の動きを見ると初戦から楽しみになってきた」と二ノ宮調教師。6月23日、福島の芝1800mを蛯名騎手で予定している。
◆マイネルガブリエル(牡、父ファンタスティックライト、母エンジェルライト、美浦・高橋裕厩舎)
半兄マイネルアナハイムは葉牡丹賞など通算3勝。入厩後は坂路とウッドチップコースでビシビシと乗り込まれており、ひと追い毎に上昇している。「古馬と併せても互角に動けるところがあるし、いいものはある」と高橋裕調教師。ややスピード不足の配合にも思えるが、陣営のトーンは低くない。6月23日、福島の芝1800mを松岡騎手で予定している。