【栗東】
◆キズナ(牡、父ディープインパクト 、母キャットクイル、栗東・佐々木晶三厩舎)
師も惚れ込む逸材、キズナ
半姉ファレノプシスは1998年に桜花賞、秋華賞を制し、2000年にはエリザベス女王杯を制覇。ブライアンズタイム産駒だった姉から、父がディープインパクトに。栗東での様子を見ていると、大きな期待を抱かせてくれる。
というのも、坂路でのキャンターを見ていても、実に雄大でバネの利いた走り。その様子を見ると佐々木晶三調教師も「普通の新馬とはちょっと違うでしょ」とその動きに惚れ込んでいる。坂路での追い切りでは目立って速い時計は出ていないものの、9月26日に併せた相手アップトゥデイトは先週のヤマボウシ賞(2歳500万下)で1着。この馬を追走して先着したのだから、数字には見えない動きの良さがある。各厩舎の期待馬が揃う10月7日(日)京都芝1800mでデビューする予定だが、その中心にいるのはこの馬だろう。なお鞍上は佐藤哲三騎手が予定されている。
◆プランタンビジュー(牝、父ダイワメジャー、母スプリングチケット、栗東・西園正都厩舎)
カレンチャンの半妹プランタンビジュー
先週のスプリンターズSでは惜しくも2着となったカレンチャンだが、その半妹としてPOGでも注目を集めている。8月18日にグリーンウッドから栗東へ入厩し、その後もスムーズに調教が進められている。
良血の片鱗を見せたのは、9月20日のCWでの追い切り。同厩舎の変則5頭併せの最内だったが、最後まで余力十分に同入。その時計が6F81.2秒。ラストも12.3秒と古馬オープン級の動きを見せ、西園正都調教師も「いや〜、動くね」とただ驚くばかり。1週前追い切りとなった9月27日はレースでも騎乗予定の池添謙一騎手が跨って、6F80.9秒と2週前同様に速い時計をマーク。
「調教を見ていただいて分かるように、スピード能力は兄姉同様に優れたものを持っていると思います。兄姉はスプリンターとして活躍していますが、この馬は胴も長めでストライドも大きいので、ある程度の距離もこなしてくれそうですよ」と師。ひとまずデビュー戦は10月6日(土)京都芝1400m(牝)という距離でどのようなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみだ。
◆ノボリディアーナ(牝、父フレンチデピュティ、母スターリーロマンス、栗東・松永昌博厩舎)
近親にフジキセキを持つノボリディアーナ
半兄に2011年若葉Sを勝ったダノンミル、近親には1994年朝日杯3歳S(現朝日杯FS)を優勝し、現在も種牡馬として活躍するフジキセキがいる血統。
本馬は8月16日にグリーンウッドから栗東へ入厩。ゲート試験合格後は坂路で順調に調教を重ねている。「しっかりした馬体で、体重は460キロくらい。飼葉もしっかり食べてくれています。調教では追ってからしっかりしていますよ」と松永昌博調教師。デビュー戦は10月6日(土)京都芝1400m(牝)を幸英明騎手で予定されている。
◆エーシンサミット(牡、父Montbrook、母My Golden Quest、栗東・西園正都厩舎)
岩田騎手でデビューのエーシンサミット
今週はプランタンビジューを紹介した西園正都厩舎だが、枠を使ってでも紹介したい馬がもう一頭。西園正都調教師が「トップより上かも」というこの馬だが、トップとは新馬、中京2歳Sと連勝したエーシントップだ。
調教ではプランタンビジューに少し見劣る感じの動きになっているが、それでも9月27日のCWでは6F82.0秒と新馬として水準以上の時計をマーク。翌日にはレースで騎乗予定の岩田康誠騎手が跨ってゲート練習。「ジョッキーもいい感触を掴んでくれたようです。先々は大きい舞台での活躍を期待している馬。初戦から楽しみですね」と師。10月8日(月)京都芝1600mでデビューする予定となっている。
【美浦】
◆アポロソニック(牡、父Big Brown、母Purely Surprized、美浦・堀井雅広厩舎)
父は無傷の5連勝で2008年のケンタッキーダービー、プリークネスSの米2冠を制した。3冠最終戦のベルモントSは最下位での入線(競走中止扱い)となったが、これが唯一の敗戦。GI4勝を含む通算8戦7勝の成績を残し、同年の秋に右前脚の故障で引退した。
先週の9月26日には1000万下の3歳馬と併せ、やや優勢の脚勢で併入。馬場の外めを回ったことを思えば上々の動きだ。「500キロを越す雄大な馬格。そのわりに重々しさは感じないし、すごく柔らかみがある。血統的にダートはもちろん、芝もこなせそう。まだまだ成長の余地を残すけど、いろんな可能性を秘めていると思うし、先々まで楽しみだね」と堀井雅広調教師。10月7日、東京のダート1600mを蛯名正義騎手で予定している。
◆エバーブロッサム(牝、父ディープインパクト、母サクラサクII、美浦・堀宣行厩舎)
半姉のエイジアンウインズは2008年のヴィクトリアマイルでウオッカを破り、堂々の3連勝でGI初制覇を飾った。9月27日にはウッドチップコースで3頭併せを消化。徐々に調教の負荷を強め、ひと追い毎に時計も詰めてきている。
「まだ少し反応が鈍いけど、しっかりと追ったことで変わってくるはず。ディープ産駒の牝馬にしては落ち着いた性格だし、芝のマイルぐらいに適性がありそう。馬っぷりもいいし、能力は高いと思います」と橋本篤典調教助手。10月8日、東京の芝1600m(牝馬)を石橋脩騎手で予定している。
◆サトノネプチューン(牡、父シンボリクリスエス、母アンナヴァン、美浦・堀宣行厩舎)
叔母のアンブロワーズは函館2歳Sを勝ち、阪神JF2着など早い時期から活躍した。3代母のバレークイーンからはダービー馬のフサイチコンコルド、皐月賞馬のアンライバルドが出ている。27日にはエバーブロッサムと一緒にウッドチップコースで3頭併せを敢行。力強い走りで駆け抜けた。
「調教を積みながら少しピリピリとしてきたけど、基本的には素直で扱いやすい。クリスエスの子でストロングリターンに似たようなタイプだし、この馬も能力は高そうです」と橋本篤典調教助手。10月7日、東京の芝1800mをニコラ・ピンナ騎手で予定している。
◆ダービーフィズ(牡、父ジャングルポケット、母マンハッタンフィズ、美浦・小島太厩舎)
重賞2勝(クイーンC、クイーンS)と活躍しているアプリコットフィズの全弟。伯父にマンハッタンカフェがおり、小島太厩舎にゆかりの良血だ。9月21日に2度目のチャレンジでゲート試験をクリア。先週の26日には坂路で4F50秒7の好時計をマークした。「この血統にしては素直だし、コントロールも利く。お姉ちゃんとは気性的にもタイプが違うけどね。走りそうな雰囲気はあるよ」と小島良太調教助手。
当初は4回東京4週目のデビューを視野に入れていたが、動きの良さから2週目の芝2000mに前倒しするプランが浮上。さらに今週の追い切りでは蛯名正義騎手が感触を確かめる予定になっており、その動き次第で開幕週のデビューも検討されることになった。10月7日、東京の芝1800mでデビューする可能性もある。
◆ヒカルエリントン(牡、父ダイワメジャー、母ディクシージャズ、美浦・戸田博文厩舎)
重賞3勝(シンザン記念、毎日杯、鳴尾記念)と活躍しているレッドデイヴィスの半弟。叔父には2004年の菊花賞、2006年のメルボルンC(豪GI)を制したデルタブルースがいる。9月27日にはウッドチップコースで長めから追われ、先行していた古馬を置き去りにしてみせた。「馬っぷりは抜群。じっくりと乗り込んできたし、大型馬にしてはフットワークが軽い。素直な気性で何の悪さもしないし、これで結果が伴えば言うことなしだね」と戸田博文調教師。10月8日、東京の芝1800mを福永祐一騎手で予定している。