「調教(追い切り)時計」は予想をする際の重要な要素の一つだが、「数字とにらめっこするだけでは何も見えてこない」のは言うまでもない。厩舎の方針、乗り手の体重、コーナーを回る際の位置、ラップタイムの構成…注意すべき点を挙げていけば、きりがないほどだからだ。
ただし全般論としてなら確実に言えることが一つある。松田博調教師がよく口にする「馬も若い時はがむしゃらだから調教でもよく動く」。同厩舎で朝日杯FSを制したアドマイヤドンも2歳時は「あかぬけている」とトレーナーが絶賛するほど活気あふれる走りを見せていた。かのテイエムオペラオーも3歳時は優秀なタイムを叩き出し、調教とレースの結果が一致するタイプだったが…。この2頭、古馬になってキャリアを積み重ねていくにつれ、追い切り時計が目立たなくなった。
もっとも、それで結果が出なくなったのかといえば、そうではない。アドマイヤドンはダートGIを勝ちまくり、テイエムオペラオーは古馬中長距離GIを総なめにしたほど。馬の心理を読み解くのは難しいが、前出の松田博調教師によれば、「難しく考えることはないさ。古馬にもなれば、あちこち痛いところも出てくるし、馬も調教でやらなければならないこと、レースでやるべきことがわかってくる。だから調教でも2歳馬とは違って動かなくなるし、時計も出なくなるものなんだ。むしろ走る馬ほど賢いので、そういう傾向があると思う」。
もちろん、これとは逆にキャリアを積み重ねていくにつれ、追い切りも動くようになり、本格化するタイプもいる。人間と同じで、サラブレッドも“十馬十色”。調教時計はその馬によって持つ意味が違ってくるのだ。
その点で興味深いのがGII京王杯2歳S(10日=東京芝1400メートル)にエントリーしたエーシントップ。31日の坂路で4ハロン50.0秒の1番時計を叩き出し、「改めてすごいと思ったよ。時計が出にくい馬場だったし、2番時計に1秒2も差をつけたんだからね」と西園調教師も目を丸くしていた。
一方で古馬の1番時計はメイショウデイムの51.4秒(全体では3番時計)。ただラップ構成を比べると、エーシントップが前半に速いラップを刻んでいるのに対し、メイショウデイムのラップは(ラスト1ハロン前までは)徐々に速くなっている。後者は古馬らしく“よく訓練されている”のがよくわかる。
とはいえ、人間も馬も「がむしゃらさ」は若い者だけが持つ“特権”。京王杯2歳Sでエーシントップをはじめとした若駒が駆け引きなしの馬力勝負でどのような戦いを見せるのか。GI朝日杯FS(12月16日=中山芝外1600メートル)にもつながるだけに、目の離せない一戦となりそうだ。
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