スマートフォン版へ

エーシントップ坂路1番時計/吉田竜作マル秘週報

  • 2012年11月07日(水) 18時00分
「調教(追い切り)時計」は予想をする際の重要な要素の一つだが、「数字とにらめっこするだけでは何も見えてこない」のは言うまでもない。厩舎の方針、乗り手の体重、コーナーを回る際の位置、ラップタイムの構成…注意すべき点を挙げていけば、きりがないほどだからだ。

 ただし全般論としてなら確実に言えることが一つある。松田博調教師がよく口にする「馬も若い時はがむしゃらだから調教でもよく動く」。同厩舎で朝日杯FSを制したアドマイヤドンも2歳時は「あかぬけている」とトレーナーが絶賛するほど活気あふれる走りを見せていた。かのテイエムオペラオーも3歳時は優秀なタイムを叩き出し、調教とレースの結果が一致するタイプだったが…。この2頭、古馬になってキャリアを積み重ねていくにつれ、追い切り時計が目立たなくなった。

 もっとも、それで結果が出なくなったのかといえば、そうではない。アドマイヤドンはダートGIを勝ちまくり、テイエムオペラオーは古馬中長距離GIを総なめにしたほど。馬の心理を読み解くのは難しいが、前出の松田博調教師によれば、「難しく考えることはないさ。古馬にもなれば、あちこち痛いところも出てくるし、馬も調教でやらなければならないこと、レースでやるべきことがわかってくる。だから調教でも2歳馬とは違って動かなくなるし、時計も出なくなるものなんだ。むしろ走る馬ほど賢いので、そういう傾向があると思う」。

 もちろん、これとは逆にキャリアを積み重ねていくにつれ、追い切りも動くようになり、本格化するタイプもいる。人間と同じで、サラブレッドも“十馬十色”。調教時計はその馬によって持つ意味が違ってくるのだ。

 その点で興味深いのがGII京王杯2歳S(10日=東京芝1400メートル)にエントリーしたエーシントップ。31日の坂路で4ハロン50.0秒の1番時計を叩き出し、「改めてすごいと思ったよ。時計が出にくい馬場だったし、2番時計に1秒2も差をつけたんだからね」と西園調教師も目を丸くしていた。

 一方で古馬の1番時計はメイショウデイムの51.4秒(全体では3番時計)。ただラップ構成を比べると、エーシントップが前半に速いラップを刻んでいるのに対し、メイショウデイムのラップは(ラスト1ハロン前までは)徐々に速くなっている。後者は古馬らしく“よく訓練されている”のがよくわかる。

 とはいえ、人間も馬も「がむしゃらさ」は若い者だけが持つ“特権”。京王杯2歳Sでエーシントップをはじめとした若駒が駆け引きなしの馬力勝負でどのような戦いを見せるのか。GI朝日杯FS(12月16日=中山芝外1600メートル)にもつながるだけに、目の離せない一戦となりそうだ。

※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。
東京スポーツ 今日の紙面
東京スポーツ 今日の紙面
GIエリザベス女王杯ヴィルシーナ“完熟”追い切り
・ダル不参加表明 侍ジャパンを米トーリ監督が挑発
・「とくダネ!」3月打ち切りへ 後番組に安住アナ浮上
・冒険家が体験を激白!まだまだある中国「死のツアー」
・石田純一 子供は理子パパ似

ブランケット版による大型紙面が大迫力となって読者の目を射る。夕刊時間帯による海外ゴルフ等の速報。未来の情報エリアをリードする総合スポーツ・レジャー紙は東京スポーツ、大阪スポーツ、中京スポーツ、九州スポーツの日本列島縦断の4社体制。特に東京、大阪、中京の3紙は、同時印刷を行っている。メイン紙面は東京制作であるが各紙各々地域に密着した紙面も制作している。九州のみ朝刊として発行、独特な紙面づくりを行っている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

2010年に創刊50周年を迎えた夕刊紙。競馬確定面「競馬トウスポ」(大阪スポーツは「競馬大スポ」、中京スポーツは「競馬中京スポ」)は便利な抜き取り16ページで、中身は東スポグループだからこその超充実ぶり。開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載しています。

関東・舘林勲、大阪・松浪大樹の本紙予想のほか、記者による好評コラム(「一撃・山河浩、馬匠・渡辺薫など)、そして競馬評論家・井崎脩五郎、爆笑問題の田中裕二、IK血統研など超豪華執筆陣の記事も読みごたえたっぷり。馬券作戦に役立つ情報が満載です。

関連サイト:競馬トウスポWeb

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング